かたちは、うつる 国立西洋美術館所蔵版画展 [09展覧会感想]
国立西洋美術館で開催されていた「国立西洋美術館開館50周年記念事業 かたちは、うつる-国立西洋美術館所蔵版画展」を観に行きました。
「国立西洋美術館は今年、開館50周年を迎えます。この半世紀間は当館にとって、さまざまな研究活動や展覧会事業の蓄積の過程であったと同時に、なによりも作品収集、独自のコレクション形成の歴史でした。当初、フランス政府より寄贈返還された松方コレクション計370点とともに開館した当館は、それ以後の継続的な収集活動によって、今日では4,547点の所蔵作品(平成20年度時点)を抱えるに至っています。なかでも、開館当時には24点を数えるばかりであった版画のコレクションは、現在では3,747点にまで膨らみ、いまや当館の所蔵作品全体のなかにも、かなり大きな比重を占めるものへと成長しました。そこには、ルネサンス期のデューラーらにはじまり、17世紀のカロやレンブラント、18世紀のピラネージやゴヤ、19世紀のドーミエやクリンガーなどに至る、西洋版画史を語るうえで欠かすことのできない重要な芸術家たちの優品が、数多く含まれています。本展はこうした当館自身の版画コレクションを、若干の素描作例及び書籍とあわせた約130点によって、はじめてまとまった形で紹介する機会となります。(公式サイトより)」
~展示構成~
序 うつろ-憂鬱・思惟・夢
第1部 現出するイメージ
うつしの誘惑Ⅰ-顔・投影・転写
うつしの誘惑Ⅱ-横顔・影・他者
うつしだす顔-肖像と性格
うつる世界Ⅰ-原初の景色
うつる世界Ⅱ-視線と光景
うつせみⅠ-虚と実のあいだの身体
うつせみⅡ-身体の内と外
第2部 回帰するイメージ
落ちる肉体
受苦の肢体
暴力の身振り
人間≒動物の情念
踊る身体
輪舞
コンセプト(会場の説明より)
「うつる」という日本語に着目
映る・・・反射、投影 写る・・・転写、刻印 移る・・・移動、伝染
→うつ(空/虚)という語から派生した同語源の言葉
投影、転写、あるいは憑依などによって目に見える「イメージ」や「かたち」が生じること
版画もまた、まさに「うつす」ことによって「イメージ」や「かたち」を現出させ、
それらを広く伝播させていく媒体
西洋版画に刻まれた「かたち」の生成の反復、推移と変容を「うつる」という日本語と共に考える
色のにじみや混ざり。光沢、筆の跡。輪郭線。
どちらかというと、私は油彩、水彩で色づけされたものが好きです。
今回は版画展のため基本的に色づけは無いので、ざっと気になった作品を並べておきます。
西美の所蔵作品に固定リンクが付されたので、そのリンクも一緒に。
リンク先で作品の図版や解説(一部作品のみ)を見ることができます。
版画といえども、その線による描写、表現はとても緻密で見応えあり。
色がない分ごまかしがきかない。卓越したデッサン力が求められる。
アルブレヒト・デューラー《メレンコリアⅠ》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1998-0052.html)
チラシ裏、右上にある作品。メランコリア、メランコリーとは、鬱、憂鬱の意。
頬杖をついて考え中・・・!? まわりの散らかってる様子からも煮詰まった感じが伝わってくる。
デューラーの卓越したデッサン力を堪能できる作品。
フランシスコ・ゴヤ《理性の眠りは怪物を生む》〈ロス・カプリチョース〉より☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1984-0057.html)
机にもたれるポーズが印象的。疲れ果てて・・・って感じ?
マックス・クリンガー《夜》〈死についてⅠ〉より☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1982-0057.html)
タイトルからしてそうだが、これもちょっと重い感じ。。。
モノクロ版画だから余計にそう感じるのかな。。。(^_^;)
ウジェーヌ・カリエール《ポール・ヴェレーヌ》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2001-0023.html)
肖像。グラデーションが素晴らしい。版画とは思えないほどに。
アンリ・マティス《レースの襟のエマ》☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2004-0003.html)
引っ掻いて輪郭を描いただけ。(* ̄m ̄) ププッ
でも、そのシンプルな線がとっても魅力的。
掻き落とし(grattage)という、《青いドレスの女》(フィラデルフィア美術館蔵)のドレスに用いられている装飾的な引っ掻いた線をご存知の方なら、その魅力をご理解いただけることでしょう。
フィラデルフィア美術館展感想記事(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2007-10-26)
アルブレヒト・デューラー《フィリップ・メランヒトンの像》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1971-0007.html)
髪の一本一本まで丁寧。さすがデューラー。
モデルとなったメランヒトンさん、数えで30歳だそうだ。
このおでこはちとキツイっしょ。。。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アンナ・ヘルト》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1968-0004.html)
うん、なんかロートレックって感じ。上手く言い表せないけど。
リトグラフだが、パステルによるデッサンかと思った。
ロートレックのデッサンってこんな感じなんだろな~なんて作品を眺めながら物思いにふけった。
マリー=ジュヌヴィエーヴ・ブリアール《自画像》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/D.1977-0001.html)
なかなか魅力的な女性。
女性が画家として成功するのは大変な時代、自信溢れる自画像。
落ち着いた色合いの中にも華がある、気品ある作品。
ルカス・クラーナハ(父)《聖ヨハネス・クリュソストムスの悔悛》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2001-0001.html)
後ろの木がクリスマスツリーみたい。立派な角を持った鹿くんが格好いい。
でも、クリスマスツリーがあるせいか、だんだんトナカイに見えてくる・・・(^_^;)
ロドルフ・ブレダン《死の喜劇》☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2004-0006.html)
踊るガイコツ!
カナレット《司教の碑の見える町》☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1977-0004.html)
カナレットいいねぇ~、風景画好きにはたまらん!
西美にカナレットの作品があることに驚いた!
ジュリオ・カンパニョーラ《洗礼者ヨハネ》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1984-0095.html)
「人物と風景の原画として、それぞれ別の素描が使用されている。人物の原画となった素描には、輪郭線に沿って無数の穴が針で開けられており、版画制作のために図柄が転写されたことがわかっている。 スティプル・エングレーヴィングという点刻のみで陰影を表現する技法が用いられている。輪郭線をできるだけ排除することで、柔らかな陰影の描写が可能。点描のみで表現される風景は湿り気のある大気の雰囲気を伝えている。(会場の解説より)」
版画の点描ってマジすげぇ。。。
ある意味、スーラやシニャックよりも凄いかも。
私なら作品が完成する前に精神が破綻するね。。。確実に。。。
(※版画なので、正確には点描ではなく点刻)
ルイ・シュルグ《シテール島の愉しみ》(アントワーヌ・ヴァトーの原画)☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2003-0023.html)
かの有名なヴァトーの作品を題材にしたもの。
ポール・セザンヌ《横たわる裸婦(風景の中の裸婦)》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/D.1959-0008.html)
素描。風景部分に水彩でちゃちゃっと色を置いた感じがなんか好き。
あらためて考えてみると、セザンヌの素描ってあまり目にする機会が無いような気がする。
エドヴァルド・ムンク《横たわる裸婦(大きなマドンナ)》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1991-0115.html)
塗りつぶされた部分が長い黒髪で覆われているようにも見える。怖っ。。。
確かに裸婦が横たわっているのだが、いやらしさは無い。
なんだか死体が横たわっているような。。。
見方によっては生贄のようにも。(>_<)
アゴスティーノ・カラッチ《悔悛する聖ヒエロニムス》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1998-0075.html)
写実的。背景の岩のようにごつごつした筋肉。
左上にライオンが!(゜ロ゜) ヒョオォォ!
ジョルジョ・ギージ《エゼキエルの幻視》(ジョバンニ・バッティスタ・ベルターニの原画)☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2002-0001.html)
「旧約聖書「エゼキエル書」の記述を描いたもの。預言者エゼキエルが骨の散らばる谷で復活を予言すると骨には筋と肉が生じ、皮で覆われて群集となりました。ここでは散らばる骨に筋や肉がつく様子や、墓から死人が復活する様子が、解剖学的な正確さをもって表されています。画面中央には、この版画を出版したアントワーヌ・ラフレリの名が刻まれています。彼はローマで活動した有名な版元でした。(会場の解説より)」
映画のハムナプトラ・シリーズを思い出した。
(ハムナプトラだったかスコーピオン・キングだったか忘れたけど。。。)
ミイラが徐々に復活していくやつ。
人間を喰らいながら(取り込みながら)完全体に戻る過程の生々しさ。
おどろおどろしいけどつい見入ってしまう、妖しい魅力。魔力!?(>_<)
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ《通称ミネルヴァ・メディカ神殿》〈ローマの景観より〉☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1997-0006.html)
左上の雲が顔のよう。。。(^_^;)
エネア・ヴィーコ《ラピタイ族とケンタウロスの戦い》(ロッソ・フィオレンティーノの原画)☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1999-0059.html)
動きが感じられる・・・けっこう生々しい。
アンドレア・マンテーニャ《海神の戦い》(左半図)☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1981-0002.html)
右の馬がピカソの描く馬のようだった。
ウジェーヌ・ドラクロワ《安息日の夜、馬を駆るファウストとメフィストフェレス》〈ゲーテ『ファウスト』〉より☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1981-0020.html)
格好いい♪人物、馬や場面がというより、全体的に。特にコントラストが。
ウィレム・ファン・スワーネンブルフ《ペルセウスとアンドロメダ》(ヤン・サーンレダムの原画)☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1992-0032.html)
この場面については、4月にここで鑑賞したルーヴル美術館展のヨアヒム・ウテワール《アンドロメダを救うペルセウス》の印象が鮮明に残っているので、じっくりと見入ってしまった♪
※裸のお姉さんに見とれていたわけではない。
ルーヴル美術館展感想記事(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2009-06-11)
アルブレヒト・デューラー《魔女》☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2003-0118.html)
右下のサイン、鳥居を象形化したようなA。Aの下の部分、鳥居だと中にあたる部分にD。
ただし、版画のため左右が反転している。
ついでに言うと、描かれている人物の配置もこのサインにどことなく似ている。。。
マックス・クリンガー《祭(輪舞)》〈ブラームス幻想〉より☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1982-0164.html)
幻想的。儀式のようにも見える。
綺麗なお姉さんがいっぱい♪
彷徨うように踊る。うっ、魂が。。。
どことなくポール・デルヴォーの描く女性に似ている。。。(^_^;)
ジュニア・パスポート(子供向けワークシート)
通常は小中学生にしか配布していないそうだが、この日は西美のファンデーということで、特別に大人にも配布されていた。子供用と侮る無かれ。内容は、へぇ~。なるほどー。おおっ!って。私は美術の専門的な教育を受けていないのでなおさら。(普段から、大人にも配布して欲しい。。。)
予想以上にすんごい展覧会だった!!
開館当初、版画作品の所蔵は24点だったそうだが、現在は3747点とのこと。
今回はその中から厳選された作品に書籍と素描を含めた約130点による展示。
デューラーの版画凄すぎ!!
西美にデューラーの作品があること自体驚き。しかもこんなにたくさん。
初めて聞く名前、見たことの無い作品がいっぱい、西美の奥深さを痛感した。
この日は会場の入り口で銅版画のデモンストレーションが開催されていた。
参加したかったが既に始まっており、結構時間もかかりそうだったので、ちょろっと覘いて展示室へ。
とても興味深かったんだけどな~(>_<)
この展覧会、よその美術館なら、ふつ~に1200円とか1500円取られちゃうでしょう。
これが、常設展の料金で開催。
しかも、この日はファンデーということで、タダ!!キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
ちなみに図録は1500円。
購入しようかどうしようか本当に迷った。
ファン・デー2009 国立西洋美術館
(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2009-07-13)
国立西洋美術館(http://www.nmwa.go.jp/index-j.html)
「国立西洋美術館は今年、開館50周年を迎えます。この半世紀間は当館にとって、さまざまな研究活動や展覧会事業の蓄積の過程であったと同時に、なによりも作品収集、独自のコレクション形成の歴史でした。当初、フランス政府より寄贈返還された松方コレクション計370点とともに開館した当館は、それ以後の継続的な収集活動によって、今日では4,547点の所蔵作品(平成20年度時点)を抱えるに至っています。なかでも、開館当時には24点を数えるばかりであった版画のコレクションは、現在では3,747点にまで膨らみ、いまや当館の所蔵作品全体のなかにも、かなり大きな比重を占めるものへと成長しました。そこには、ルネサンス期のデューラーらにはじまり、17世紀のカロやレンブラント、18世紀のピラネージやゴヤ、19世紀のドーミエやクリンガーなどに至る、西洋版画史を語るうえで欠かすことのできない重要な芸術家たちの優品が、数多く含まれています。本展はこうした当館自身の版画コレクションを、若干の素描作例及び書籍とあわせた約130点によって、はじめてまとまった形で紹介する機会となります。(公式サイトより)」
~展示構成~
序 うつろ-憂鬱・思惟・夢
第1部 現出するイメージ
うつしの誘惑Ⅰ-顔・投影・転写
うつしの誘惑Ⅱ-横顔・影・他者
うつしだす顔-肖像と性格
うつる世界Ⅰ-原初の景色
うつる世界Ⅱ-視線と光景
うつせみⅠ-虚と実のあいだの身体
うつせみⅡ-身体の内と外
第2部 回帰するイメージ
落ちる肉体
受苦の肢体
暴力の身振り
人間≒動物の情念
踊る身体
輪舞
コンセプト(会場の説明より)
「うつる」という日本語に着目
映る・・・反射、投影 写る・・・転写、刻印 移る・・・移動、伝染
→うつ(空/虚)という語から派生した同語源の言葉
投影、転写、あるいは憑依などによって目に見える「イメージ」や「かたち」が生じること
版画もまた、まさに「うつす」ことによって「イメージ」や「かたち」を現出させ、
それらを広く伝播させていく媒体
西洋版画に刻まれた「かたち」の生成の反復、推移と変容を「うつる」という日本語と共に考える
色のにじみや混ざり。光沢、筆の跡。輪郭線。
どちらかというと、私は油彩、水彩で色づけされたものが好きです。
今回は版画展のため基本的に色づけは無いので、ざっと気になった作品を並べておきます。
西美の所蔵作品に固定リンクが付されたので、そのリンクも一緒に。
リンク先で作品の図版や解説(一部作品のみ)を見ることができます。
版画といえども、その線による描写、表現はとても緻密で見応えあり。
色がない分ごまかしがきかない。卓越したデッサン力が求められる。
アルブレヒト・デューラー《メレンコリアⅠ》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1998-0052.html)
チラシ裏、右上にある作品。メランコリア、メランコリーとは、鬱、憂鬱の意。
頬杖をついて考え中・・・!? まわりの散らかってる様子からも煮詰まった感じが伝わってくる。
デューラーの卓越したデッサン力を堪能できる作品。
フランシスコ・ゴヤ《理性の眠りは怪物を生む》〈ロス・カプリチョース〉より☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1984-0057.html)
机にもたれるポーズが印象的。疲れ果てて・・・って感じ?
マックス・クリンガー《夜》〈死についてⅠ〉より☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1982-0057.html)
タイトルからしてそうだが、これもちょっと重い感じ。。。
モノクロ版画だから余計にそう感じるのかな。。。(^_^;)
ウジェーヌ・カリエール《ポール・ヴェレーヌ》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2001-0023.html)
肖像。グラデーションが素晴らしい。版画とは思えないほどに。
アンリ・マティス《レースの襟のエマ》☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2004-0003.html)
引っ掻いて輪郭を描いただけ。(* ̄m ̄) ププッ
でも、そのシンプルな線がとっても魅力的。
掻き落とし(grattage)という、《青いドレスの女》(フィラデルフィア美術館蔵)のドレスに用いられている装飾的な引っ掻いた線をご存知の方なら、その魅力をご理解いただけることでしょう。
フィラデルフィア美術館展感想記事(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2007-10-26)
アルブレヒト・デューラー《フィリップ・メランヒトンの像》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1971-0007.html)
髪の一本一本まで丁寧。さすがデューラー。
モデルとなったメランヒトンさん、数えで30歳だそうだ。
このおでこはちとキツイっしょ。。。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アンナ・ヘルト》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1968-0004.html)
うん、なんかロートレックって感じ。上手く言い表せないけど。
リトグラフだが、パステルによるデッサンかと思った。
ロートレックのデッサンってこんな感じなんだろな~なんて作品を眺めながら物思いにふけった。
マリー=ジュヌヴィエーヴ・ブリアール《自画像》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/D.1977-0001.html)
なかなか魅力的な女性。
女性が画家として成功するのは大変な時代、自信溢れる自画像。
落ち着いた色合いの中にも華がある、気品ある作品。
ルカス・クラーナハ(父)《聖ヨハネス・クリュソストムスの悔悛》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2001-0001.html)
後ろの木がクリスマスツリーみたい。立派な角を持った鹿くんが格好いい。
でも、クリスマスツリーがあるせいか、だんだんトナカイに見えてくる・・・(^_^;)
ロドルフ・ブレダン《死の喜劇》☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2004-0006.html)
踊るガイコツ!
カナレット《司教の碑の見える町》☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1977-0004.html)
カナレットいいねぇ~、風景画好きにはたまらん!
西美にカナレットの作品があることに驚いた!
ジュリオ・カンパニョーラ《洗礼者ヨハネ》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1984-0095.html)
「人物と風景の原画として、それぞれ別の素描が使用されている。人物の原画となった素描には、輪郭線に沿って無数の穴が針で開けられており、版画制作のために図柄が転写されたことがわかっている。 スティプル・エングレーヴィングという点刻のみで陰影を表現する技法が用いられている。輪郭線をできるだけ排除することで、柔らかな陰影の描写が可能。点描のみで表現される風景は湿り気のある大気の雰囲気を伝えている。(会場の解説より)」
版画の点描ってマジすげぇ。。。
ある意味、スーラやシニャックよりも凄いかも。
私なら作品が完成する前に精神が破綻するね。。。確実に。。。
(※版画なので、正確には点描ではなく点刻)
ルイ・シュルグ《シテール島の愉しみ》(アントワーヌ・ヴァトーの原画)☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2003-0023.html)
かの有名なヴァトーの作品を題材にしたもの。
ポール・セザンヌ《横たわる裸婦(風景の中の裸婦)》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/D.1959-0008.html)
素描。風景部分に水彩でちゃちゃっと色を置いた感じがなんか好き。
あらためて考えてみると、セザンヌの素描ってあまり目にする機会が無いような気がする。
エドヴァルド・ムンク《横たわる裸婦(大きなマドンナ)》☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1991-0115.html)
塗りつぶされた部分が長い黒髪で覆われているようにも見える。怖っ。。。
確かに裸婦が横たわっているのだが、いやらしさは無い。
なんだか死体が横たわっているような。。。
見方によっては生贄のようにも。(>_<)
アゴスティーノ・カラッチ《悔悛する聖ヒエロニムス》☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1998-0075.html)
写実的。背景の岩のようにごつごつした筋肉。
左上にライオンが!(゜ロ゜) ヒョオォォ!
ジョルジョ・ギージ《エゼキエルの幻視》(ジョバンニ・バッティスタ・ベルターニの原画)☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2002-0001.html)
「旧約聖書「エゼキエル書」の記述を描いたもの。預言者エゼキエルが骨の散らばる谷で復活を予言すると骨には筋と肉が生じ、皮で覆われて群集となりました。ここでは散らばる骨に筋や肉がつく様子や、墓から死人が復活する様子が、解剖学的な正確さをもって表されています。画面中央には、この版画を出版したアントワーヌ・ラフレリの名が刻まれています。彼はローマで活動した有名な版元でした。(会場の解説より)」
映画のハムナプトラ・シリーズを思い出した。
(ハムナプトラだったかスコーピオン・キングだったか忘れたけど。。。)
ミイラが徐々に復活していくやつ。
人間を喰らいながら(取り込みながら)完全体に戻る過程の生々しさ。
おどろおどろしいけどつい見入ってしまう、妖しい魅力。魔力!?(>_<)
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ《通称ミネルヴァ・メディカ神殿》〈ローマの景観より〉☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1997-0006.html)
左上の雲が顔のよう。。。(^_^;)
エネア・ヴィーコ《ラピタイ族とケンタウロスの戦い》(ロッソ・フィオレンティーノの原画)☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1999-0059.html)
動きが感じられる・・・けっこう生々しい。
アンドレア・マンテーニャ《海神の戦い》(左半図)☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1981-0002.html)
右の馬がピカソの描く馬のようだった。
ウジェーヌ・ドラクロワ《安息日の夜、馬を駆るファウストとメフィストフェレス》〈ゲーテ『ファウスト』〉より☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1981-0020.html)
格好いい♪人物、馬や場面がというより、全体的に。特にコントラストが。
ウィレム・ファン・スワーネンブルフ《ペルセウスとアンドロメダ》(ヤン・サーンレダムの原画)☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1992-0032.html)
この場面については、4月にここで鑑賞したルーヴル美術館展のヨアヒム・ウテワール《アンドロメダを救うペルセウス》の印象が鮮明に残っているので、じっくりと見入ってしまった♪
※裸のお姉さんに見とれていたわけではない。
ルーヴル美術館展感想記事(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2009-06-11)
アルブレヒト・デューラー《魔女》☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.2003-0118.html)
右下のサイン、鳥居を象形化したようなA。Aの下の部分、鳥居だと中にあたる部分にD。
ただし、版画のため左右が反転している。
ついでに言うと、描かれている人物の配置もこのサインにどことなく似ている。。。
マックス・クリンガー《祭(輪舞)》〈ブラームス幻想〉より☆☆☆
(http://collection.nmwa.go.jp/G.1982-0164.html)
幻想的。儀式のようにも見える。
綺麗なお姉さんがいっぱい♪
彷徨うように踊る。うっ、魂が。。。
どことなくポール・デルヴォーの描く女性に似ている。。。(^_^;)
ジュニア・パスポート(子供向けワークシート)
通常は小中学生にしか配布していないそうだが、この日は西美のファンデーということで、特別に大人にも配布されていた。子供用と侮る無かれ。内容は、へぇ~。なるほどー。おおっ!って。私は美術の専門的な教育を受けていないのでなおさら。(普段から、大人にも配布して欲しい。。。)
予想以上にすんごい展覧会だった!!
開館当初、版画作品の所蔵は24点だったそうだが、現在は3747点とのこと。
今回はその中から厳選された作品に書籍と素描を含めた約130点による展示。
デューラーの版画凄すぎ!!
西美にデューラーの作品があること自体驚き。しかもこんなにたくさん。
初めて聞く名前、見たことの無い作品がいっぱい、西美の奥深さを痛感した。
この日は会場の入り口で銅版画のデモンストレーションが開催されていた。
参加したかったが既に始まっており、結構時間もかかりそうだったので、ちょろっと覘いて展示室へ。
とても興味深かったんだけどな~(>_<)
この展覧会、よその美術館なら、ふつ~に1200円とか1500円取られちゃうでしょう。
これが、常設展の料金で開催。
しかも、この日はファンデーということで、タダ!!キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
ちなみに図録は1500円。
購入しようかどうしようか本当に迷った。
ファン・デー2009 国立西洋美術館
(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2009-07-13)
国立西洋美術館(http://www.nmwa.go.jp/index-j.html)
りゅうさん、凄~い!
☆はもちろんりゅうさんの判定ですよね(^_-)-☆
ひとつずつ、またゆっくり拝見させて頂きますね。
by kuwachan (2009-12-14 12:50)
ここに来れば美術館の様子とか
感想が・・・(笑)
唯一 楽しみですー!
by 乃亜 (2009-12-15 00:30)
一枚ずつリンクを貼ってくださったので見てきました。
こんなにちゃんと版画をみたことなかったかも。
by pistacci (2009-12-15 10:00)
○kuwachanさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
お気に入り作品は、三段階の☆印と感想を作品リストやメモ帳に記入しています。稀にですが、☆☆☆を超えてはなまるも。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
今年のはなまるは、ルーヴルのフェルメール、ラ・トゥール、カルロ・ドルチ、阿修羅、ゴーギャン《我々は~》、皇室の若冲、后妃エリザベートでした。
やっぱりというか、結果的に、みんな有名どころでした♪(^_^;)
○乃亜さん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
展覧会の感想記事、ようやく7月に入りました・・・(^_^;)
会期中にアップしたいと思いつつも、
なかなかタイムリーに更新できません。。。(>_<)
○pistacciさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
私も版画はさらっと流してしまうことが多いのですが、
今回は版画しかないので腰を据えて鑑賞することができました♪
モノクロの世界、とっても奥が深いですね!(^_^)
実はこの記事、リンクを貼る作業が、
一番手間がかかっています。。。(^_^;)
○はっちんさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
○xml_xslさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
○tacit_tacetさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
○poyoyonさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
○miyokoさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2009-12-16 21:26)
ちとご無沙汰でした。
この子供向きのワークシート、素人にも配ってほしいですよね。
by 雅 (2009-12-16 21:52)
○雅さん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
子供用のワークシート、美術館によっては大人にも配ってくれます。
まあ、無い所には、「全くない!」のですが。(^_^;)
ちなみに、埼玉県立近代美術館のワークシートは秀逸です。しかも、入り口に作品リストと一緒に置いてあり、自由に貰うことができます。(^_^)
by りゅう (2009-12-16 23:26)
デューラーの版画がそれほどたくさんあるなんて知りませんでした。
きっといろいろ持っているんでしょうね、西洋美術館。
西洋美術館をもっとチェックしてみたくなりました。
by naonao (2009-12-17 21:26)
○naonaoさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
西美HPの所蔵作品検索でデューラーの版画は49点ヒットします。
しかも、49点すべて画像付。
今回、10点が展示されていました♪キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
作品保全の観点から版画や素描は展示機会が限られるだけに、
とても貴重な機会でした♪(^_^)
○TaekoLovesParisさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
○yukitanさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2009-12-19 00:41)
版画って繊細で綺麗ですね〜
それにしても…HPで見たら、現在展示してませんて…
普段は観られないんでしょうね…
by laysy (2009-12-26 17:26)
○laysyさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
版画、水彩、素描は作品保全の観点から展示期間が限られており、
普段はなかなか観ることができません。
また、所蔵作品数も膨大なため、展示される作品の数にも限りが。
とても貴重な機会でした♪(^_^)
by りゅう (2009-12-28 21:25)
○ぽんこさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2009-12-30 10:47)
○sungenさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2009-12-30 12:14)