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ベルギー象徴派展 [05展覧会感想]

10日の午後、Bunkamuraで開催中のベルギー象徴派展を観に行きました。

この展覧会は、ベルギーの象徴派を代表する20作家の幻想的で耽美的、ときには悪魔的な油彩、素描、彫刻などの作品により、ベルギー象徴主義の全貌を紹介するものだそうです。また、この展覧会は、来年の1月まで国内を巡回するそうです。(尾道、鹿児島、福井、長崎)

展示室を入ると、まず、フェリシアン・ロップスの作品群。何と言うべきか・・・。ロップスが好きな方には、それなりに満足のいく作品ではないでしょうか。(個人的にはあまり好きな絵ではない。)

レオン・フレデリックは素晴らしい作品が揃っていました。《聖三位一体》はインパクトもあるし、綺麗な絵だなぁ~って感じで、白色の使い方が素晴らしい作品でした。《祝福を与える人》《三姉妹》《キャベツを持つ少女》《無題(ジュリアン・ディレンスに捧ぐ)》は、いずれもデッサン力がずば抜けた作品。特に《キャベツを持つ少女》は少女の表情やキャベツの質感はすごかった。シンプル故に、デッサン力の高さが際立っているという感じ。

チラシの表にあるフェルナン・クノップフ《アクレイジア、『妖精の女王』より》《ブリトマート『妖精の女王』より》は、かなり見入っている人が多かったです。また、色彩の控えめなデッサンのようなものが多く展示されていましたが、とても質の高いものばかりでした。全体として、フェルナン・クノップフの作品は質の高いものばかりで、これだけでも観にくるだけの価値があるという感じでした。

ジェームズ・アンソールの作品もいくつか展示されていましたが、いずれもごちゃごちゃした感じのもの。(「ウォーリーを探せ!」みたいなモノまであった・・・)

ウィリアム・ドグーヴ・ド・ヌンク《夜の効果》は神秘的で幻想的な感じのじっくりと観たい作品。《謎めいた森》は森の木々、特に、枯れた木がうねるように描かれ、動物や恐竜のような、何か生物のような形をしている退廃的なものですが、サイズが126×293cmと大きなものなので、不気味という感じはあまりなく、何が描かれているのか見入ってしまう作品でした。(本当に謎だ・・・)

ジャン・デルヴィル《栄華を司る天使》《死せるオルフェウス》はとても綺麗な絵でした。《死せるオルフェウス》は図録の解説によると、「古代ギリシャの伝説の詩人オルフェウスは竪琴の才に恵まれ、その調べは自然の全てをなだめたという。しかし、愛妻エウリディケの他界後、トラキアの狂女たちの誘いを拒んだために彼女らに殺され、頭は川に投げ捨てられた。そして竪琴は天の星座になったという。」とのこと。結局は川に投げ込まれた死体(生首)・・・。こんなに綺麗な死体が???(作品といい、ストーリーといい、少女漫画のような感じがした・・・)

レオン・スピリアールトの作品は暗い色調のもので、これといったインパクトに欠け、あまり好きなものではなかった。

全体として似たような作品が多く、単調な感じがして途中で飽きてしまった・・・

ミステリアスで妖しい作品がいっぱい。かなりディープな感じです。骸骨とか悪魔とか・・・そういう点では、どの作家も同じようなものばかり。特に、版画は並べて展示されていたら、誰の作品だかわからないかもしれない。(元々、版画はあまり好きではないので、余計にそういう風に感じてしまったのかも・・・ヽ(ー_ー )ノ マイッタ)

観に来ている人は40代女性が中心で、どちらかというと熱狂的なファンという感じの人が多かった。展示室に入った瞬間、ヤバイと思った (≧▼≦;) アチャー 浮いてるヨ・・・

また、全体的に作品の解説は少なく、作家の紹介のようなものばかり。作家を紹介して、いくつかの作品を展示するという感じで、あまりいい展示方法とはいえなかった。図録も同様で、その作品がどうして描かれたのかとか、主題は何かということがあまりはっきりしない。しかも、バカみたいに高い。でかくて厚みもあり、重い。にもかかわらず、作品の解説は薄い・・・ある意味最悪かも・・・

この展覧会は、超早割チケットで600円ということだったので観に行ったが、普通に1000円前後の入館料なら、行かなかった。また、超早割600円+図録2800円なら、一般的な展覧会の入館料1000円前後+図録2000円前後とあまり変わらないから図録を購入したが、通常なら絶対に購入しない!!

音声ガイドは借りませんでしたが、利用している人の様子を見ていると、一つの作品にかける時間がかなり長そうだったので、丁寧で充実した解説だったのかも。HPにも音声ガイドのサンプルのようなものがありましたが、なかなかいい感じだったので、音声ガイドを借りた方が楽しめたのかも・・・(ガイドの中身まで作家の紹介だったら終わってる・・・(>_<))

批判的な感想になってしまいましたが、レオン・フレデリック、フェルナン・クノップフ、ジャン・デルヴィルは本当に素晴らしい作品でした。それだけでも十分に楽しめる展覧会だったと思います。また、数は少なかったのですが、彫刻ブロンズはいずれも素晴らしいものでした。

この展覧会は評価がはっきりと割れるような感じがします。価値観、視野を広げるという意味ではよい経験になったかなぁ。(今回は、アートの学習というところでしょうか?)

  • 図録:2800円(税込)
  • 音声ガイド:500円(税込)

公式HP Bunkamuraザ・ミュージアム(http://www.bunkamura.co.jp/

 

 表裏

【東京展】 Bunkamuraザ・ミュージアム:2005年4月15日~6月12日
【広島展】 尾道市立美術館:2005年6月17日~7月17日
【鹿児島展】 鹿児島市立美術館:2005年7月22日~9月4日
【福井展】 福井県立美術館:2005年9月9日~10月10日
【長崎展】 長崎県美術館:2005年11月17日~2006年1月5日


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Tak

こんにちは。

世田谷美術館で「ゲント美術館展」が始まりました。
既に行かれた方のお話だと、中々興味深い内容だとか。
「ベルギー象徴派展」で目がやっと慣れてきたように
思うので、ちょっと遠いですが、私も出かけてこようと思ってます。
by Tak (2005-06-15 11:06) 

りゅう

>Takさん、はじめまして
TB&コメントありがとうございました。
世田谷美術館は遠いので、「ゲント美術館展」は埼玉県立近代美術館での鑑賞を予定しています。(北浦和はその気になればチャリでも・・・)
美術館ごとの展示構成の違いとかも興味はあるので、本当は世田谷と埼玉の両方に行きたいのですが、私は暫く先ということになりそうです・・・
Takさんの感想、楽しみにしております!!
by りゅう (2005-06-15 21:11) 

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