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パルマ-イタリア美術、もう一つの都展 [07展覧会感想]

国立西洋美術館で開催されていた『パルマ-イタリア美術、もう一つの都』展を観に行きました。この展覧会は、コレッジョやパルミジャニーノといった優れた芸術家が活躍したルネサンス期から、独自の文化がファルネーゼ家の庇護のもとに栄えた16世紀後半から17世紀バロック期までを視野に入れながら、パルマの芸術文化を広く紹介しようとするもので、コレッジョやパルミジャニーノが登場する背景と、その後、コレッジョが到達した「優美」な世界がバロック絵画に与えた影響を、数多くの作品により展観するものだそうで、世界的にもきわめて貴重な機会とのこと。

~展示構成~
Ⅰ.15世紀から16世紀のパルマ-「地方」の画家と地元の反応 Ⅱ.コレッジョとパルミジャニーノの季節 Ⅲ.ファルネーゼ家の公爵たち Ⅳ.聖と俗の絵画-「マニエーラ」の勝利 Ⅴ.バロックへ-カラッチ、スケドーニ、ランフランコ Ⅵ.素描および版画

コレッジョ《幼児キリストを礼拝する聖母》まずは、コレッジョ。本名はアントーニオ・アッレーグリというそうだ。《東方三博士の礼拝》《階段の聖母》《幼児キリストを礼拝する聖母》の3点が見応えのある素晴らしい作品でした。特に、《幼児キリストを礼拝する聖母》はとても優しく温かい感じが印象的で心が落ち着く。この展覧会で一番のお気に入り作品でした♪(^_^)/静かな薄暗いところで一人でじっくりと向き合いたいかな。細部までキッチリと描き込まれています。《階段の聖母》は壁画。柔らかく穏やかな表情が印象的。ん~上部が欠落しているのが惜しい・・・コレッジョの模写《聖母子とマグダラのマリア、聖ルチア(通称アルビネーアの聖母)》は優美な女性が見応え十分。いや~女性が綺麗すぎて宗教画とは思えないですよ~♪ヾ( ̄ー ̄)ゞフランチェスコ・ザガネッリ《妻ドミティッラ・ガンバラの肖像》もよかったね~

パルミジャニーノ《聖カタリナの神秘の結婚》パルミジャニーノ《ルクレティア》パルミジャニーノとはパルマッ子という意味だそうで、本名はフランチェスコ・マッツォーラというそうです。そのパルミジャニーノは《聖カタリナの神秘の結婚》《ルクレティア》の2点が見応えがありました。《聖カタリナ~》は緩やかな流れを感じる優しい作品。《ルクレティア》は胸に剣を突き立てるというショッキングなシーンにもかかわらず、何故か優雅さを感じる不思議な作品。ともに、滑らかな肌の質感や衣が柔らかく優しく、ゆったりとした時間の流れを感じる。
チラシの表にある、ジョルジョ・ガンディーニ・デル・グラーノ《聖母子と幼い洗礼者聖ヨハネ、聖エリサベツ、マグダラのマリア》も見応えありました♪大胆なコントラストというか、なんというか・・・チラシで見た時よりも実際には鮮やか。青や緑の使い方がうまいな~という感じ。肌の色や質感との対比が見事でした。これ、結構好きかも。ちなみに美術館前の看板もこの作品。美術館前の看板 

アレッサンドロ・ペドリ・マッツォーラ《聖家族と幼い洗礼者聖ヨハネ、プットたち》アレッサンドロ・ペドリ・マッツォーラ《聖家族と幼い洗礼者聖ヨハネ、プットたち》はとても優しく温かい作品。パッと見はゴチャゴチャした感じがしましたが、とても落ち着きのある穏やかなものでした。ガイドブックの解説によると、幼児キリストは威厳ある救世主である前に、幼い子供であることを強調して描かれているそうです。そのため、より親しみやすい身近な存在としての聖家族が示されているとのこと。マロッソ(本名ジョヴァンニ・バッティスタ・トロッティ)《聖ルチア》も迫力がありました~!眼病に対する守護聖人だそうで、とても綺麗な女性が目玉を載せたお皿を手にしています!!(@_@)私の視力を回復させて欲しいです・・・(※裸眼視力0.03、乱視のおまけつき!かなり切羽詰ってます!!)アゴスティーノ・カラッチ《聖母子と聖マルガリタ、聖ベネディクトゥス(?)、聖チェチリア、幼い洗礼者聖ヨハネ》アゴスティーノ・カラッチ《聖母子と聖マルガリタ、聖ベネディクトゥス(?)、聖チェチリア、幼い洗礼者聖ヨハネ》は女性がとても綺麗♪特に滑らかな肌の質感は必見!!この作品いいですね~、好きです♪(^_^)/でも公式サイトの解説によると、「画面左下でひざまずくマルガリタは、4世紀はじめに首をはねられて殉教したとされる聖女です。キリスト教徒への迫害を受け、全身を引き裂かれるほどの拷問を受けたのち、牢に閉じ込められます。牢では巨大な竜が現れ彼女めがけて襲いかかりますが、十字を切ると竜は消えたといわれます。竜や十字架とともに描かれることが多い聖人です。」とのこと。ほぼ同じ内容の解説が会場にもあったと思います。(もしかしたら、全く同じかも。えっ、そんなもん無かった??)かなり記憶が薄れてきています・・・(;^_^ A フキフキ いずれにしても、この解説内容はヘビーですよね・・・作品から受ける優美さというものが吹っ飛んでしまいます。

バルトロメオ・スケドーニ《キリストの墓の前のマリアたち》シスト・バダロッキオ《守護天使》バルトロメオ・スケドーニ《キリストの墓の前のマリアたち》もとても印象深かった作品のひとつ。でかっ!!すんげー迫力!!Σ(ヾ ̄▽ ̄)ヾ!!大胆なコントラストと劇的な描写に圧倒されました・・・・・つーか、この白色は凄いです、凄すぎます!!!フラ・センプリチェ・ダ・ヴェローナ《エジプトへの逃避行途上の休息》も見応えのある素敵なものでした♪「なるほど~そーゆー場面だったのか~」と解説を読んで、納得、納得♪勉強になりました!シスト・バダロッキオ《瀕死のクロリンダに洗礼を授けるタンクレーディ》は切ない・・・これに対し《守護天使》は格好良過ぎます!!ちなみにプレミアム・ブックレットの表紙もこれ。実物を前にした第一印象は、ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》(※実物を観た事はありません。)のような躍動感と迫力を感じました。全く違う場面なのに・・・巧みな色使いと劇的な描写がそのように感じさせるのでしょうか?ん~やっぱり格好いい!!ガイドブックの解説によると「・・・悪魔を退治する天使ではなく、あくまで子供を守護するということがモチーフとなっています。子供と天使との精神的絆の深さが、天使にしがみつく子供の仕草と、体を乗り出してそれを守ろうとする天使の姿から読み取ることができます。人間の情愛と絆が最も重要な主題となっていることは、時代を超えてパルマ派の作品の特徴となっている人間性への洞察がバダロッキオの中にも息づいている証といえるでしょう。」とのこと。奥深いっすねー!ヾ( ̄ー ̄)ゞ

素描及び版画にも見応えのある素晴らしい作品が揃っていましたが、特に気に入ったのはミケランジェロ・アンセルミ《パウルス3世の紋章》とパルミジャニーノ《本を手にした女性の肖像》《ステッカータ聖堂の乙女像の習作》でした。いずれも繊細なもので食い入るように楽しんできました♪

パルマ派って何?宗教や神話について詳しくないしどうなのかな~と思いつつも、気になる作品がいくつかあったこと、招待券が当たったことから鑑賞した展覧会でしたが、これは観に行って正解!!(メチャメチャ暑かったけど・・・)行かなかったら後悔していたかも!(≧▽≦)bえっ?詳しくないのに何故後悔するのかって???それは公式サイトがとても充実していたからです。主要作品がいくつも掲載され解説が付されおり、また、題材となっている宗教や神話の場面や人物についても説明があり、とてもわかりやすかったです。過去の展覧会に比べてもとても親切で魅力的な公式サイトに感じました。更に、会場の作品解説はもちろん、作品リストにも主題解説として『聖カタリナの神秘の結婚』『キリストとマリアたち』『ウルカヌスの復習』『キリストとエルサレム入場』の説明があり、宗教や神話に詳しくなくても十分に楽しめるよう配慮されていました。同一主題でも画家によって随分と違いますね~、パルマ派と一括りにしてしまうのはちょっともったいないかも♪それにしても知らない名前ばっかりの展覧会でここまで楽しめるとは思いませんでしたよ。。。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
全体的に迫力のある作品が揃っているように感じました。しかも緻密な描写の優美で繊細なもの。特に大きな作品は素晴らしいものが揃い、とても見応えありました(ちょっと首にきたけど・・・(^_^;))
展示室は程よく空いていたので、大きな作品から版画・デッサンまでのんびりじっくりと楽しむことが出来ました♪もっとも、この日は恐ろしく暑かったので、常設を含め閉館時まで粘るつもりでしたが。。。(ホントに閉館時まで居ました!)展示室は涼しくて居心地がいいっすね~(*^^*) フフ

  • 図録:2500円
  • 音声ガイド:500円

国立西洋美術館(http://www.nmwa.go.jp/index-j.html

パルマ展公式サイト(http://www.parma2007.jp/) 

チラシです。(参考までに)

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