SSブログ

「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像」展 [07展覧会感想]

東京国立博物館で開催されている「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像」展を観に行きました。この展覧会は、ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチの創造世界を紹介するもので、「世界に十数点しか現存しない絵画作品のうち、初期の傑作『受胎告知』を日本で初公開するほか、映像や模型をふんだんに使い、科学、芸術にわたる『万能の人』の真の姿を解き明かす試み」だそうです。2007年1月までイタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館で開催されていた企画展を日本向けに再構成したものとのこと。

~展示構成~
第1会場:本館特別5室
レオナルド・ダ・ヴィンチの出発点となった「受胎告知」を、1974年に「モナリザ」を展示した本館特別5室で特別公開します。
第2会場:平成館特別展示室
人間や自然の真の姿を表現するため、徹底的な観察や論証を行ったレオナルド・ダ・ヴィンチ。手稿の記述を手がかりに、マルチメディアも利用して広範な精神活動の展開をたどります。
Ⅰ.レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯 Ⅱ.「受胎告知」-思索の原点 Ⅲ.レオナルドの書斎 Ⅳ.「かたち」のとらえ方 Ⅴ.万物の運動 Ⅵ.絵画への結実

レオナルド・ダ・ヴィンチ《受胎告知》はレオナルドの20歳頃の作品で、「1人前の画家すなわち「親方」として認められたばかりの若きレオナルドが手がけた最初の単独作品であり、実質的なデビュー作」だそうです。フィレンツェのウフィツィ美術館でも最も重要な作品のひとつで、ウフィツィ美術館を出たのは第2次世界大戦中に疎開させて以来とのこと。
この作品は5枚の板からなる油彩画で、板が変形しないように湿度や温度を一定に保つ設計の特殊なガラスケースでの展示。ドイツで開発された極めて透明度の高いガラスを用いているそうです。立ち位置を変えて様々な角度から鑑賞していると、時々照明がガラスに反射し、『あっ、ガラスあったんだ・・・』と気づかされます。 その存在を忘れてしまう程に透明度が高く、作品の細部までクッキリ!特に、最前列での鑑賞は、最高♪まさに、かぶりつき!!(^¬^)(ちなみにウフィツィ美術館のガラスは若干青みがかっているそうで、今展の方がより綺麗に見えるそうです。)

お勧めの鑑賞方法は、『第1会場』→『第2会場』→『第1会場』

第1会場は当日に限り再入場可能です。もちろん再び手荷物検査&金属探知機の洗礼を浴びることにます。(※私は鳴らしてませんよっ!)鑑賞中、入り口のほうでピーピー鳴り捲っていましたので、ダミーではありません。本物です!金属探知機の洗礼はけっこうドキドキ!!(^_^)荷物を持ったままの鑑賞は疲れますし場所をとります、コインロッカー(リターン式)に入れたほうがいいでしょう♪

さて、大本命の受胎告知ですが・・・

初めてのレオナルド作品、過大な期待を持って会場に乗り込むと、作品と向き合った瞬間、その存在感の大きさと精神性、荘厳さに圧倒され、頭の中が真っ白に。。。もちろん感動しますよ、でも、作品に負けてしまうんですよね。正直、何処から観たらいいのか、何処に注目したらいいのか、作品を前に全部忘れてしまいました・・・ウーム (; _ _ )/音声ガイドを借りれば、もっと冷静に細部までしっかりと鑑賞できたのでしょうが、いきなり向きあって、ある意味、漠然と鑑賞してしまいました。。。(音声ガイドを借りるべきだったと久しぶりに後悔・・・)

ということで、第2会場で頭を冷やして出直してきま~す♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ

第2会場に作品リストがありました。リストというよりは《受胎告知》の解説と第2会場の展示構成の紹介。また、第2会場には《受胎告知》を解説したビデオ上映があります。まずこのビデオ上映を見て、鑑賞ポイントをチェックすることを強くお勧めします♪(≧▽≦)b

○映像シアター
本展のためにイタリアで特別制作された映像3本を上映いたします(日本語ナレーション)。
場所:平成館2階・特別展示室内/平成館1階・ガイダンスルーム
 ・「《当方三博士の礼拝》再見-絵の背後にあるもの」
 ・「レオナルドの巨像 スフォルツァ騎馬像の挑戦」
 ・「海沿いの山-レオナルドの《受胎告知》」

再び第1会場へ

第2会場でレオナルドの広範な精神活動の展開を辿ったあと、再び第1会場へ。今度は一応、冷静に作品と向き合うことができましたヾ( ̄ー ̄)ゞまずは一段高いところから。ここで肘をついて乗り出すように鑑賞。ちょうど作品と同じ高さ。正面、右、左。何度も移動して様々な角度から向き合う。この作品は右斜め下から鑑賞するのが構図等から理想的だそうだ。同じ高さでも右から観ると確かにその雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。でも、マリアの腕の問題はこれで解決されるかもしれないが、大天使ガブリエルの存在感が消えてしまう。かといって左から観ると、今度はマリアの存在感が消えてしまう。存在感が弱いのでそれほど気にはならないがやはり腕の問題は残る。結局、正面から観るのが一番好き。マリアもガブリエルも圧倒的な存在感を放っている。意外と面白かったのは右斜めで後ろの壁?に寄りかかっての鑑賞。照明の効果でしょうか、離れたところから観ると、作品そのものが浮かび上がるように観えました。特にマリアとガブリエルの圧倒的な存在感は見応えあり!!暗闇にマリアとガブリエルが浮かび上がるようで、とても神秘的♪最初に展示室に入って展示室の一番奥にある作品がチラッと見えたとき、マリアとガブリエルが浮かび上がるようで神秘的に感じました。「おっ、《受胎告知》だ!」とドキドキしたのと同時に、「遠くから観ても面白いかも♪」という印象を受けました。意外と、遠くから眺めるように見たほうが、ありがたさというか尊さ、精神性や宗教性を感じることができるのかもしれません。

正面からじっくりと♪

マリアの半開きの姿勢がとても興味深い。そのままガブリエルと抱き合いそう。その後の運命を受け入れるかのようにも思える。ガブリエルが書見台の正面に位置しているのに対して、マリアは書見台に斜めに向かっている。なんだか、びっくりして後ずさりでもしたかのよう。静の中に若干の動を感じ取ることが出来る。というより、マリア以外は完全な静の世界。右腕が長いという問題についても、そこに動きがあったと捉えればチョットは解決!?(笑)この右腕ですが、百歩譲っても捲るならページの下。でも、これでは様にならない。また、せっかくの綺麗な消失点をつぶしかねない。やっぱりこれでいいんじゃないかな~ちょっとぐらい長くたって。
マリアとガブリエルの腕のバランスが面白い。マリアの右腕とガブリエルの左腕。マリアの左腕とガブリエルの右腕。お互いの右腕同士、左腕同士。絶妙な間合い。そして手のしぐさ。着眼点をかえることで二人の間の微妙な空気というか雰囲気が変わってくるあたり、なかなか見応えがある。
一つ気になる点が。それはマリアの左肩。肩が落ち過ぎている。女性なのでそんなにがっちりと肩が張るわけはないが、チョット弱すぎる。右肩が青色で強く感じる部分もあり、また、手首で隠れぎみという理由もあるが、赤も強い色である以上、これは弱すぎるんじゃないかな~、これだと結果的に首も太く見えちゃうし。(^_^;)また、人間の骨格的にも肘を引いた場合、肘が体にぴったりと付いている以外は少なからず、肩が上がる。(筋肉質であれば当然、更に肩が盛り上がることになる。)足がどっしりとした感じでしっかりと描かれているので、上体とのバランスが微妙に崩れているようにも思える。上半身がのけぞっているわけでもなく、背筋がしっかりと伸びてる以上、衣装をふんわりと柔らかい感じでほんのちょっとだけ大きく描いた方が自然かも。。。また、その方が右腕への注目をそらすこともできそう。それでも素晴らしい作品には違いなく、見応え十分。やはり、謎が多いからこそ、レオナルドの作品なのでしょう♪(≧▽≦)b

一番前は3列でその最前列が止まらずに歩きながらの鑑賞、必殺カニ歩き♪ただし、これは一番最後。また、最前列は作品の全体を見渡すにはかなり厳しいので、ここは緻密な描写を楽しむものと割り切っての鑑賞。髪の毛の一本一本、衣装、床、花、そして木々や山。近くで確認したい部分が沢山ありすぎる。本当はこの最前列こそ、時間をかけてじっくりと楽しみたいのですがね。。。

全体的にキッチリとしていて硬い印象。そのため、二人の柔らかく繊細な衣装の表現が際立っているように感じる。1回目と2回目を合わせて何時間この作品と向き合っていたのでしょう。一枚の作品にこれだけの時間をかけたのは初めて。閉館間際が狙い目。特に、ラスト30分!!十数人での貸切鑑賞会。最後はスタッフの人たちに追い出されるように展示室を後にしました。ヾ( ̄ー ̄)ゞ

第2会場の展示 

やはり注目すべきは特別出品の伝レオナルド・ダ・ヴィンチ作《少年キリスト像》(ローマ、ガラン・コレクション)。解説によると「均整のとれた体つき、首筋などの解剖学的な正確さ、レオナルド作品に特有の薄い眉毛、そして高い次元の感情表現などから、レオナルドの真作である可能性が高いと考えられています。《受胎告知》の大天使ガブリエルを思わせる頭髪の繊細な巻き毛、《最後の晩餐》のキリストを思わせる、やや左に傾けた頭と憂いを帯びた表情、今まさに言葉を発したばかりのように薄く開かれた唇など、絵画作品との比較が興味深い作品」とのこと。また、若き日のレオナルド自身との見方もあるそうです。言われてみると確かにレオナルドの雰囲気があるんですよね~!今まで、レオナルドというとヒゲのお爺さんのイメージが強く、若い頃の姿を想像することがありませんでした。実質的なデビュー作である《受胎告知》の展覧会にこの作品を持ってくるなんて、ホント粋な計らいですね♪
《ウィトルウィウス的人体図》の映像はとても面白かったです。8頭身の説明で、ポンッ。ポンッ。ポンッ。って感じで縦に頭が並んでいきます。なるほど~と思って見ていると、頭だけではなく、腕やその他様々なパーツでも同様に♪なんかその繰り返しが面白くて笑ってしまいました~(* ̄m ̄) ププッちなみに黄金比率は1:0.618だそうだ。ヾ( ̄ー ̄)ゞスフォルツァ騎馬像の鋳造やコウモリの羽の骨格も興味深い展示。

第2会場の展示、面白いですね~とても興味深かったです。何故か文系の世界にどっぷりと浸かってしまいましたが、もともとは理系人間で、実験とか計算とか大好きでけっこう得意でした。何か、こう、眠っているものが強く刺激されるような感じがします。ヾ( ̄ー ̄)ゞただ、この日は時間的にも体力的にもかなり厳しかったので、ゆっくりと見る余裕があまり無かったけど。
もし《受胎告知》が無かったら、この展覧会、向かいの国立科学博物館で開催されただろうな~しかも夏休みとかにぶつけたら、子供比率が凄く高そう・・・内容的には高度で難しいけど。自由研究にレオナルド・ダ・ヴィンチの人力飛行機の模型とかなかなかいけてるかも♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ

東京国立博物館(http://www.tnm.jp/

公式サイト(http://www.leonardo2007.jp/)※割引券あり

  • 図録:2000円
  • 音声ガイド:500円

チラシです。(参考までに)

続きを読む


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。