SSブログ

国立西洋美術館 ~その2~ [07展覧会感想]

国立西洋美術館の常設展示を鑑賞しました。
企画展のついでということが多いのですが、毎年3,4回は鑑賞しています。
にもかかわらず、1度も記事にしていませんでした。。。(^_^;)
最近、作品解説が徐々に添えられるようになりましたね。
(私もくどいほどアンケートでリクエストしていました♪)

まずは、ブリューゲルの鳥罠。
昨年のベルギー王立美術館展の時に参考展示されていたもの。

 
ピーテル・ブリューゲル[子]《鳥罠のある冬景色》
 この作品は、ピーテル・ブリューゲルの長男で、同名の父の作品を模写したことで知られるピーテル・ブリューゲル(子)のものです。100点以上ものヴァージョンがあることが知られているこの作品は、フランドル風景画の最もよく知られた構図のひとつですが、本作品はその中でも最も優れた作品のひとつに数えられます。
 主題については、ブリューゲル(父)の下絵素描に基づいて制作されたフランス・ハルスンの手になる《アントウェルベンのシント。ヨーリス門の前でスケートをする人々》という版画に関連することが指摘されてきました。その版画には「人間の生命のあてにならないこと」という銘文が書かれており、楽しそうに見える氷上のスケート遊びも日常生活の単なる描写ではないのかもしれません。本作品においても、画面手前には氷の上に穴が見え、氷上でスケートに興ずる人々と罠の餌食となる鳥たちとは同じ運命にあることが、それとなく示唆されています。
 本作品は、旧松方コレクションに由来するものです。ほぼ一世紀を経て「里帰り」したブリューゲルは、松方コレクションがロダンやモネばかりではなかったことを伝える大変貴重な作例であると言えるでしょう。なお、ブリューゲル(父)の手になる《鳥罠のある冬景色》は、ベルギー王立美術館に所蔵されています。(展示室の作品解説より)

※ベルギー王立美術館展の感想記事はこちら

 

次は、昨年5月(ロダンとカリエール展鑑賞後)に鑑賞した時にビックリした展示。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの《聖トマス》は私が見た限り、この場所が3箇所目。
最初はルーベンスの作品の裏、次はルーベンスの並び(現在、上記の鳥罠が展示されているところ。)、そして、この新しい壁。ようやく落ち着いたと言う感じです。なかなかイケテマス(^_^)

フィリップ・ド・シャンパーニュ《マグダラのマリア》【左】フィリップ・ド・シャンパーニュ《マグダラのマリア》
この最晩年の作と推定される《マグダラのマリア》では、人物は完全なプロフィールとなり、一心に祈りを唱えるかのように口を半ば開き、その敬虔なまなざしは天に向けられている。魅惑的な存在感をあふれさせる聖女の姿は、シャンパーニュ特有の厳格さと節制によって暗い画面の上に浮彫にされているが、そこにはジャンセニスム的な厳しい精神性の中にもフランス宮廷画家の作品にふさわしい優雅さが感じられる。手前の岩の上には、彼女の象徴的持ち物である香油壺のほか、聖書と十字架が置かれ、右後方には極めて自然主義的に描かれた風景が見られる。(国立西洋美術館名作選より)
とても魅力的な作品の一つ。宗教画はあまり得意ではありませんが、この作品にはいつも魅了されます。この美術館には綺麗な女性を描いた作品が他にもたくさんあります(^o^)丿(もちろんスタッフのお姉さんも綺麗な人ばかりですヾ( ̄ー ̄)ゞ)
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《聖トマス》【右】ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《聖トマス》
2003年度に国立西洋美術館のコレクションに加わった作品。日本人コレクターが所蔵していたもので、海外に流出する直前だったとか。この購入をきっかけに開催されたのが2005年のラ・トゥール展。
まさしくラ・トゥール再発見史の最も新しいページを飾る作品で、その存在が世に知られたのは僅か十数年前の1987年のことであった。アルビ近郊のある個人の家から発見されたこの作品は、さらに1991年にモナコで競売にかけられた後、わが国の個人コレクションに入って秘蔵された。しかし、その間、この絵は1996-97年のワシントン/フォートワースおよび1997-98年のパリ、グラン・パレにおけるふたつの「ラ・トゥール展」で初めて一般の眼に触れ、初期の知られざる真作として注目を集めたのである。・・・この作品には聖トマスの矛盾に満ちた性格が、その槍を握る両手と苦渋を含んだような挑戦的な眼差しを通して、直截に描き出されているのである。(ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展図録より)
ちなみに、私の持っている国立西洋美術館名作選にこの作品は掲載されていません。
もちろん、それ以降の新収蔵品も。(>_<)

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール―再発見された神秘の画家

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール―再発見された神秘の画家

  • 作者: 高橋 明也, 遠藤 ゆかり, ジャン=ピエール・キュザン, ディミトリ・サルモン
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 単行本

※ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展の感想記事はこちら 

 

そして、モネ。4月に始まる大回顧展に備えて。
今回はエプト川(河)をキーワードに鑑賞してきました♪


この作品はモネ回顧展に貸し出されるそうです。

クロード・モネ《舟遊び》クロード・モネ《舟遊び》
モネの部屋で睡蓮とともに圧倒的な存在感をもつ作品。この作品の額絵が私の部屋に飾ってあります( ̄ー ̄)v
屋敷からほど近い、セーヌ河に注ぐ支流エプト川に小舟を浮かべて遊ぶ一家の姿を幾度となく描いたのは、この地に定住して間もなくのことであった。本作品は、それら一連の「舟遊び」の主題を描いた作品の中でも、特に完成度の高い作例である。・・・大胆に小舟を半分に断ち切った構図は、西洋絵画としては異例であるが、これはモネが写真術や日本の浮世絵版画から学びとったものであろう。しかし、モネは水面を大きくとり、そこに映った影の表現に鋭い関心を払っているのである。(国立西洋美術館名作選より)

モネ展では、オルセー美術館所蔵の《エプト川のポプラ並木、風の日》が展示されるそうです。

クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》
この作品は、ジヴェルニーにほど近いエプト川左岸のポプラ並木を描いたものだそうです。有名な連作の一つ。
光の戯れと反映を何よりも深く追求したモネは、同一のモティーフを光や色彩あるいは構図を変えて何回か描くという意味での「連作」をいくつも残している。・・・この作品においてとりわけ特徴的なのは、大きく前景に描かれた3本のポプラであり、青い空と白い雲、緑とばら色の生みだす晴れやかな印象である。同一構図の作品が他に数点存在することが知られている。(国立西洋美術館名作選より)


モネの部屋に来るとこの明るい色彩の鮮やかさや軽やかさに見惚れてしまいます。落ち着いた気分になれる、心安らぐ癒しの時間。この2点は水面に移り込んでいる様子が「隠れ鑑賞ポイント」かもしれません。(^_^)

 

西洋絵画の巨匠 (1)   モネ

西洋絵画の巨匠 (1) モネ

  • 作者: 島田 紀夫
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 大型本

 こちらも明るい色彩の見応えある作品。連作を構想する前だそうです。
2005年8月、ドレスデン国立美術館展鑑賞後に常設展示室でこの作品をシッカリと目に焼き付けてから、六本木に移動しフィリップス・コレクション展を鑑賞しました♪ピース!(v^-^v) ピース!

クロード・モネ《ラ・ロシュ=ギュイヨンの道》クロード・モネ《ラ・ロシュ=ギュイヨンの道》
アルジャントゥイユ時代のようにレガッタや川辺の散歩道を歩く着飾った人々などを配した華やかな風景が描かれることはなかったが、画面に置かれた筆触はより自由で大胆になり、色彩も画面の中で自律的な個性を帯びてくる。この作品に描かれているのは、ヴェトゥイユから僅かにセーヌ河を下った所にあるラ・ロシュ=ギュイヨンという小さな村であるが、同じ場所に立って、逆にヴェトゥイユの村に向かって描いた絵もある(ワシントン、フィリップス・コレクション)。(国立西洋美術館名作選より)
それが、こちら。
クロード・モネ《ヴェトゥイユへの道》クロード・モネ《ヴェトゥイユへの道》
ラ・ロシュ=ギュイヨンからヴェトゥイユの村へいたる道を描いた、5点のうち最後の1点である。どれも同じ光景を、異なる気象条件で描いている。これらはモネが1890年代に発表する、積藁やポプラ並木、ルーアン大聖堂などの連作を予感させるが、違っているのは、この道を描いたときには連作として構想していなかったという点である。(フィリップス・コレクション展図録より)


※フィリップス・コレクション展の感想記事はこちら 

 

こちらは、昨年の10月に初めて観て感動した作品。
寄託作品だそうです。 


クロード・モネ《エプト河の釣り人たち》1889年
とてもいい作品ですね~(^_^)/ 詳細は不明。。。

以前この場所に展示されていたものはこちら。


クロード・モネ《セーヌ河の朝》1898年
お気に入り作品の一つ。残念ながら現在は貸出中。
早く(速く!!)帰ってきてくれ~(^_^)

 

『国立西洋美術館 ~その1~』はこちら

 

続きを読む


nice!(6)  コメント(9)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。