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オルセー美術館展 [07展覧会感想]

東京都美術館で開催されている、オルセー美術館展 19世紀 芸術家たちの楽園』を観に行きました。この展覧会は、「19世紀 芸術家たちの楽園」をテーマとして、19世紀の芸術家たちと彼らの創作活動に欠くことのできなかった世界との関係に焦点をあてるもので、絵画、彫刻、写真、工芸など、オルセー美術館から厳選された多彩な作品140点により、芸術家同士の交流を背景に彼らの拠りどころとなった世界-楽園-に光をあて、創作の秘密を探るものだそうです。

~展示構成~
Ⅰ.親密な時間 Ⅱ.特別な場所 Ⅲ.はるか彼方へ 
Ⅳ.芸術家の生活-アトリエ・モデル・友人 Ⅴ.幻想の世界へ

ベルト・モリゾ《ゆりかご》最初の作品はとても楽しみにしていたものの一つ、ベルト・モリゾ《ゆりかご》でした。しかもその隣りには、これまた楽しみにしていた作品、ピエール=オーギュスト・ルノワール《ジュリー・マネ(あるいは猫を抱く子供)》です。最初から飛ばしまくってるな~という感じです。並べて展示されていたこの2点を観ただけで「来て良かった~(^_^)/」と大満足です♪《ゆりかご》はベルト・モリゾの姉、エドマとその子供。エドマの優しい表情、ゆりかごを覆う白いモスリンの幕の繊細さ、背景のコントラスト等見応え十分。この作品は第1回印象派展に出品された9点のうちの1つだそうで、ベルト・モリゾの代表作の一つ。画集等では何度も見ていますが、やはり、実物は違いますね!(^_^)
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ジュリー・マネ(あるいは猫を抱く子供)》《ジュリー・マネ(あるいは猫を抱く子供)》はベルト・モリゾの娘、ジュリー・マネを描いたもの。ジュリーちゃん可愛いですね~ちょっと照れくさそうな表情もいいです。抱かれている猫もとても可愛いですね、これは猫好きの方は必見ではないでしょうか。カンヴァス全体が優しく温かい雰囲気に包まれているように感じました。この作品は2つの鑑賞方法をお勧めします。まずは、人の流れに乗って最前列でメチャメチャ可愛いニャンコやジュリーちゃんのつやつやの髪や服など細部を堪能。次に、流れから外れるのはとてもリスクが大きいのでそのまま他の作品を鑑賞。そして、展示室を移動する際(若しくは2回り目)に、この作品の前に戻り、厳しいかもしれませんが距離を置いての鑑賞。これはジュリーちゃんの顔が見えればいいので他の鑑賞者の頭越しで十分です。(本当は全体像を観たいのですがね・・・)何故かというと、最前列で観る少女の顔はまん丸でぼて~っとしていて大福みたいな感じですが、距離を置いてみてみると(ちょっとだけ角度をつけたほうがいいのかな?)、頬のオレンジ色が次第に陰影のように観えてきて立体感が出て、とても凛々しくシャープな表情へと一変する瞬間があります。これは照明の効果が大きいと思われます。もし明るすぎたら、いわゆる白とびでどうやってもぺったんこな丸顔になってしまいますので、適度に照明を落としたこの状態は絶妙なバランスを保っているのではないでしょうか。また、距離を置くことで色の変化が綺麗にボケて、自然な感じに仕上がってみえるとでも言うべきでしょうか、まぁ、印象派の作品にはよくあることですよね!(^_^)/

アンリ・ファンタン=ラトゥール《シャルロット・デュブール》ジョルジュ・スーラ《ポール・タン=ベッサンの外港、満潮》アンリ・ファンタン=ラトゥール《シャルロット・デュブール》は落ち着いた色合いの繊細なかっこいい作品。右手に持っているのは閉じた扇子。扇子の赤がいいアクセントになっています。クロード・モネ《アルジャントゥイユの船着場》とアルフレッド・シスレー《洪水と小舟》はどちらも綺麗な色合いではあるものの、どっちがモネ?シスレー?という感じ。雲は特に!!モネは木々の間から差し込む光、つまり、地表に出来る光と影のコントラストが見応えが有りました。シスレーが描いたのは洪水ねぇ・・・つーかシスレーっぽくないゾ・・・カミーユ・ピサロ《赤い屋根、村のはずれの冬の印象》の第一印象はなんかゴチャゴチャしてるな~って感じでした。少し離れてみてみると。。。おぉ~なるほど~という感じです(笑)。赤い三角屋根が浮かび上がるように鮮明になりました。全体的に暖色系でまとめられているので、冬の寒さをあまり感じません、ちょうど今年の冬(関東)のように。エドゥアール・マネ《アンリ・ロシュフォールの逃亡》とクロード・モネ《べリールの岩、打ちつける波》はともに青色が鮮やかで臨場感溢れる作品。見応えがありますね~(^o^)丿ポール・シニャック《レ・ザンドリー、河堤》クロード・モネ《ルーアン大聖堂》ジョルジュ・スーラ《ポール・タン=ベッサンの外港、満潮》はスーラの代名詞とでも言うべき点描によって描かれたもの。その点描はカンヴァスに自ら枠を描いているにもかかわらず、額縁にまで至っています。淡い色彩の優しいのどかな作品。ポール・シニャック《レ・ザンドリー、河堤》も点描による優しい作品。シニャックの作品はフォーヴのような荒々しいド派手な色彩のものが好きでしたが、このような柔らかい優しい色彩のものもなかなかいいですね~(^_^)クロード・モネ《ルーアン大聖堂》はやはり迫力があります。近寄って細部までじっくりとチェックした後に距離を置いて全体をみると、どうしてアレがこんな風になるのかな~ともう一度近寄って確認してみたり(=^_^=) ヘヘヘ展示場所もベストとは言えないまでも、なかなかいいところだと思います。モーリス・ドニ《天国》は明るい色彩の可愛い作品。楽しそう♪

階段を昇ると、そこにはもの凄い光景が・・・(^_^;)

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山》フィンセント・ファン・ゴッホ《アルルのゴッホの寝室》が並んで展示されていました。もの凄い人で、最初、何があるのかわからなかった・・・ちょっと数えてみたところ、7重の輪になっていました。3列目までは比較的容易に進みましたが、そこから先は・・・最前列になるまでにどれだけの時間を要したことか・・・ふぅ~アンリ=エドモン・クロス《夕風》は明るい色彩の点描作品。一見、派手に見えるけれど、実はとてもシンプル。

アンリ・ファンタン=ラトゥール《バティニョールのアトリエ》は美の巨人たち(テレビ東京)で取り上げられていたもの。凄い面子が揃ってるな~(^_^)フレデリック・バジール《バジールのアトリエ、ラ・コンダミヌ通り》も集団肖像画。絵の中に描かれている絵が魅力的です。ピンクのソファーなど色の組み合わせも面白い。

大本命は《すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ》

エドゥアール・マネ《すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ》ピエール=オーギュスト・ルノワール《絵筆を持つクロード・モネ》エドゥアール・マネ《すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ》はこの展覧会で一番感動した作品。期待していた以上の素晴らしさ。あえて言うまでもないと思いますが、ポイントは『黒』。黒の積極的・消極的変化、使い分け、複雑性。繊細さと大胆さを兼ね備えた本物の素晴らしさ。もちろんモリゾの表情も素晴らしいです。黒があるからこそ他の全ての色が活き、黒を活かす為に他の全ての色が計画的に配置されているのではないかと感じさせる逸品。まさに、黒を極めた男、マネの最高傑作だと思います。ちなみに、マネは1、2度のポーズでこの作品を完成させたそうです。また、モリゾの表情、特に目に注目です。画集で見た時は自信溢れる強さを感じましたが、実物はとても優しく、瑞々しい感じ。吸い込まれそうなほどに深く、それでいて精神的な強さを兼ね備えた魅力的な視線を感じます。顔の肌色の変化も見応えがあります!!何時間でも向き合っていたい作品、混雑していなければ至福の時を過ごせたのに・・・(^_^;)ギュスターヴ・モロー《ガラテア》ピエール=オーギュスト・ルノワール《絵筆を持つクロード・モネ》はモネの優しい表情が全てだと思います。モネの人柄が伝わってくる素晴らしい作品。最初のジュリーちゃんの時にも感じたことですが、ルノワールは単に見たままに描くだけではなく、その人柄や内面をも描き込んでいるよう。本物の肖像画とでも言うのでしょうか。ギュスターヴ・モロー《ガラテア》は繊細で緻密で綺麗な作品でした。装飾的かつ幻想的。色の組み合わせも素晴らしいです!!この作品はこの展覧会の隠れナンバー・ワンということで。(*^m^*) ムフッ

この展覧会は3部作の集大成だそうです。凄い作品が揃っていますね!通常、改修工事等でない限り、これだけの作品を貸してはくれませんよ。O(≧∇≦)O イエイ!!展覧会の日本側監修者、高橋明也さんはオルセー美術館の設立に携わった方だそうです。印象派は日本の影響を受けたものが多く、その印象派の作品を中心に収蔵しているのがオルセー美術館。それが96年から3回に分けてオルセー美術館展として来日。今回のチラシのメイン、ゴッホの《アルルのゴッホの寝室》旧松方コレクションの一つだそうです。(もしかしたら国立西洋美術館の常設展示室に飾られたかも・・・)日本にとても関係があるというか、何か不思議な縁を感じますね。オルセー美術館、チョット親近感が沸いてきました~(^o^)丿
会場は非常に混雑しており、退室時には入場制限が行われていましたが、とても素晴らしい展覧会でした。展示室に入り、はやる気持ちをちょっとだけ抑えて最前列の流れに入ってしまえば、それから先は常に最前列をキープでき(というより、もう後ろには行けなくなり)、のろのろ渋滞のために絵の具の凹凸やチカチカ点描等、細部までじっくりたっぷりと鑑賞できます。こういう時は柵に手をかけたりモモをくっつけるような形で必殺カニ歩きです♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ距離を置いての鑑賞は頭越しとなるため実質的には大変厳しいです。それでもすぅ~っと一筋の光が射すように開く瞬間がありますので、可能性はあります。展示室を移動する際、若しくは2回り目、気になる作品だけをスポット鑑賞するときに試してみてはいかがでしょうか。
私の場合は絵画がメインのため、写真や工芸等は軽く流しました。作品数は140点とのことでしたが、それほど多くは感じませんでした。展示室内も比較的ゆったりとした構成で動きやすく、混雑もただ人がいっぱいいるというだけで、それほど酷い状態には感じませんでした。もう一度観に行きたいですね! 

  • 図録:2500円
  • 音声ガイド:500円

東京都美術館(http://www.tobikan.jp/

公式サイト(http://www.orsay3.com/

「細密画工房 絵草紙」(http://www.ezoushi.com/

※神戸市立博物館:神戸展の作品リスト(pdf)有
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/57/museum/tokuten/2006_04_orsay.html

Let'sEnjoyTOKYO(http://www.enjoytokyo.jp/TK/TK070104_orsay.html)※割引券有

チラシです。(参考までに) 

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