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「巴里憧憬 エコール・ド・パリと日本の画家たち」展 [07展覧会感想]

埼玉県立近代美術館で開催されている「巴里憧憬 エコール・ド・パリと日本の画家たち」展を観に行きました。この展覧会は、「モディリアーニ、シャガールら西洋の巨匠たちの珠玉の作品によってエコール・ド・パリの輝きを紹介するとともに、この時期にパリを訪れた日本の画家たちの動向に焦点を当て、彼らの巴里憧憬の夢の軌跡を追いかける」ものだそうです。

~展示構成~
Ⅰ.魅惑のエコール・ド・パリ Ⅱ.エコール・ド・パリの日本人画家群像
 Ⅱ-1.目指せ!エコール・ド・パリの頂点 -藤田嗣治とその追随者たち-
 Ⅱ-2.テクニック・オリアンタル! -エコール・ド・パリの日本画家- 
 Ⅱ-3.芸術の都パリ -画家たちの聖地巡礼- 
 Ⅱ-4.美術思潮の伝道者 -留学生が見たエコール・ド・パリ- 
 Ⅱ-5.ヴェヌヴェルの静寂の中で -斎藤豊作の交友-

諸事情により、Ⅱ-1から始まります。1・2・3、そしてⅠへ。そこから、Ⅱ-4・5。ということで最初の作品は藤田嗣治です。最初に藤田を持ってくるところはいいセンスしてるな~なんて思いつつ鑑賞しましたが、おもいっきり流れが悪いです。(^_^;)しかもこの展覧会のメインなわけですし。ちなみにⅠ、Ⅱと普通に展示すると、この展覧会、確実に尻すぼみになります・・・(;-_-;) ウーム
藤田嗣治は4点。まずは《風景》(名古屋市美術館蔵)。・・・十字架・・・それも輪郭のみ。って、お墓じゃないですか!!のどかな田舎の風景ではありますが。。。つまり、企画展一番最初の作品、私にとっては今年最初の作品がお墓の絵です・・・(^_^;)気を取り直して(かなり動揺・・・)、次は《横たわる裸婦と猫》(埼玉県立近代美術館蔵)。この作品は常設展示で観た時よりも輝いているように感じました!!藤田の乳白色、繊細な線はいまさら言うまでもありませんが、この作品の一番の鑑賞ポイントは背景のだと思います。裸婦や猫を引き立たせつつも、しっかりと自己主張をしている。薄塗りのようですが色むらも無く、綺麗な味わい深い黒。裸婦の作品が3点並んでいましたが、この作品が一番良かったです。これは必見!!

海老原喜之助《冬》《ゲレンデ》は対照的な2点。《冬》は冬の厳しい寒さを表現した厚塗りの迫力ある作品。《ゲレンデ》はすっきり爽やかののどかな優しい作品。明るい色合いで楽しさが伝わってくる。久しぶりにスキーに行きたくなってきた!!(^o^)丿この作品は東京国立近代美術館所蔵だそうです。観たことがあるような、ないような。。。(・_・?) ハテ?
高野三三男《仮装した薩摩夫人像》《ヴァイオリンのある静物(コンポジション)》《人形を持ったパリジェンヌ》は白色の肌の作品。ローランサンの真似事かと思った。。。(^_^;)でも、ローランサンよりずっといいです!!結構好きかも。まず、《仮装~》は水色とピンクの組み合わせが絶妙。宝飾品の繊細さもナイス!《ヴァイオリン~》は本(楽譜?)の表紙の女性が悪魔のようで、綺麗だけど妖しい感じ。そうそう、モーツァルトの文字がありました。ちなみに私も最近良く聞いております。生誕251周年ですしね♪(*^m^*) ムフッ《ヴァイオリン~》《人形~》目黒区美術館所蔵

出島春光《金魚》はのんびりゆらゆら。優しく優雅な姿が可愛い。でも、ウチの金魚たちの方がずっと可愛いですけどね!O(≧∇≦)O イエイ!!(親ばか300%)《猫》は青い目の真ん丸い猫が3匹。ころころしていて、こちらもまた可愛い!!この2点はできれば夏に観たいですね。
金子光晴《巴黎モンパルナスの景》は朱色、奥のシルエット、風船が綺麗でした。《夜のモンパルナス》も良かったです。この2点は展示の仕方がナイス!!原勝郎《春》は桜をアップで描いた柔らかい作品。幹の質感と花の色合いが幻想的でいいですね~(^o^)丿

ここでⅠへ。

モーリス・ユトリロは《ラパン・アジール》(名古屋市美術館蔵)《旗で飾られたモンマルトルのサクレ=クール寺院》(埼玉県立近代美術館蔵)《アトリエ座》(山形美術館寄託)の3点。いずれも見応えのあるもの。作品も悲壮感溢れる孤独なものではなく、また、暖色系の照明の効果でちょっとあったかい感じ。《旗で~》も常設展示とは異なった色合いをしていて面白い。ハイム・スーチン《ねじれた木》《カーニュの風景》はこっちも体がねじれてきそう・・・なんか息苦しい。(>_<)

キスリングよかったね~(^o^)丿

キスリングは《新聞のある静物》(名古屋市美術館蔵)《リタ・ヴァン・リアの肖像》(埼玉県立近代美術館蔵)《背中を向けた裸婦》(山形美術館寄託)の3点。《新聞~》は不思議な構図。面白いけど首が曲がる~(^_^;)《リタ~》常設展示のときよりも優雅に感じます。照明の効果でしょうか。そして、特に印象深かったのは《背中を向けた裸婦》。ちょっと捻りを加えたポーズはとても柔らかく優雅です。そして、一番の見所は肌の色。オレンジの滑らかな優しい色の変化に見惚れてしまいました~(^_^)
マルク・シャガールは4点。《月の光の下の恋人たち》の青色はとても綺麗でした。でも、なぜかお気に入りの《二つの花束》(埼玉県立近代美術館蔵)がありません、図録に掲載されているにもかかわらず。常設展示室にもありませんでした。図録に掲載されているのに所蔵作品が出ていない・・・これは結構、珍しいように思います。楽しみにしていたのですがね~(o。o;) ソンナ・・・

ガラスケース(温湿度管理)の中の作品は、イマイチいけてなかった・・・

ケース・ヴァン・ドンゲン、モディリアーニ、マリー・ローランサン等の作品はガラスケースでの展示。このあたりはさっくりと・・・Σ(ノ°▽°)ノハウッ!ケース・ヴァン・ドンゲン《カジノのホール》(国立西洋美術館蔵)があるじゃないですか!しかも、西美で観るより綺麗かも♪これはいい照明だと思います。ブリヂストン美術館のモディリアーニの作品もありましたが、ケースの中では、どれも皆おめかししてかしこまった感じで、借りてきた猫のよう。よく言えばお上品!?

-4へ。

黒田重太郎《一修道僧の像》《茨の径》はキュビスムの影響を受けた作品。《一修道僧~》は暗い色彩でブラックやピカソのような感じ。《茨~》は緑の使い方がセザンヌのよう。板倉鼎《雲と秋果》は明るい色合いが特徴の作品。葡萄がおいしそう。最後は斎藤豊作の作品が多数ありました。埼玉出身の画家で、巴里から離れたところにお城を購入して住んでおり、長谷川潔や岡鹿之助らがたびたび訪れていたそうです。長谷川潔《ヴォルクスの村》は柔らかい日差しと鮮やかな緑が印象的な作品。なんか、ほっとする。岡鹿之助《積雪》もいいね~(^o^)丿

こんなにたくさんの日本人が巴里にいたとは!!チョットびっくりです。日本人の画家は知らない名前ばかりでしたが、荻須高徳佐伯祐三、大原美術館のコレクションの礎を築いた小島虎次郎等聞いたことのある名前もありました。埼玉県立近代美術館所蔵の作品がいくつもあり、その多くは常設展示で鑑賞したことのあるものなので、とても親しみを感じる展覧会でした。所蔵作品だからということではないと思いますが、展示のしかた、特に照明のバランスが常設展示の時よりも綺麗、魅せるということを心得ているかのようで、いっそう輝いて見えました。(気のせいかな?)全体的に地味な印象を受けますが、堅実な内容の真面目な展覧会だと思います。ただし、作品解説は皆無に等しいです。解説パネルは画家の紹介がほぼ全て、音声ガイドは借りていないのでわかりません。図録の内容も画家・画業が中心で個々の作品についての解説がほとんどありませんでした。せめて描かれている人物や場所についての説明はあってもいいのではないかと・・・

  • 図録:2300円(CD-ROM付き)
  • 音声ガイド:あり

埼玉県立近代美術館(http://www.momas.jp/

チラシです。(参考までに)

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