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狩野派 [アート]

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「御用絵師 狩野家の血と力」(講談社選書メチエ)

10年位前に手を出して見事なまでに玉砕された本。
中学止まりの日本史の知識は死んでるし、人名はぜんぜんわからんし・・・

画集もたくさん出ているけど、
やはり実物を目にしないことには人名は覚えられないし印象に残らない。
そこで展覧会に足を運び、いろいろ観た。
東京国立博物館の常設展示室を筆頭に、
2009年の皇室の名宝展では、無知な自分でも知っていた永徳の唐獅子図屏風を、
2012年のボストン美術館展ではたくさんの作品を。
特にボストン美術館展の作品は素晴らしいものが揃っていた。
残念ながら勉強不足のため、その素晴らしさを存分に堪能することはできなかったが。


皇室の名宝展(1期) (http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2010-04-08

ボストン美術館展おでかけ記録(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2012-05-01
いまだに感想記事をアップしていないという体たらく・・・(>_<)

昨年のボストン美術館展鑑賞後、
ジャポニスムやモネについていろいろな本を読み漁った。
その時、2012年のボストン美術館展の図録も開いた。
真っ先に目に付くのはやはり、蕭白と若冲。
浮世絵と同じ、江戸時代。
昨年は大浮世絵展も鑑賞している。
市井の絵画、町人文化。

やはり、御用絵師狩野派を無視するわけにはいかない。
作品もそこそこ目にしてきたし、もう一度読んでみようかと。
一応、数年前には日本史の本も多数読んだ。

まずは枝葉を取っ払い、幹となる狩野家をおさえることが、
狩野派を知る上で一番わかりやすい方法ではないだろうかと。
そこから実際に観た作品をあてはめて徐々に広げていこうと思った。

御用絵師 狩野家の血と力 (講談社選書メチエ)

御用絵師 狩野家の血と力 (講談社選書メチエ)

  • 作者: 松木 寛
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/10
  • メディア: ペーパーバック

~目次~
はじめに
第一章 絵師の家、狩野家の出現―正信
 1 始祖正信と足利義政
 2 狩野派画風の原点
第二章 狩野派の大成―天下の画工の長・元信
 1 狩野元信の力
 2 元信の跡つぎはだれか
 3 土佐派と狩野派
第三章 栄光と大飛躍―永徳
 1 期待の星永徳
 2 永徳と信長
 3 他派との論争
第四章 狩野派の動揺
 1 永徳の後をつぐ光信
 2 後ろ盾を失った光信
 3 孝信の執念
第五章 画壇の帝王―探幽
 1 狩野探幽の登場
 2 三家に分かれた狩野派
 3 探幽の支配
 4 安信の反撃
第六章 奥絵師の繁栄と衰退
 1 狩野三家と浜町狩野家
 2 江戸狩野の粉本主義
註・参考文献
あとがき
索引


とても興味深い内容だった。
狩野家の血という点に焦点を当てているので、京狩野についてはほとんど出てこない。
専門的な内容で文章も硬いが、ポイントが明確なので、意外と読みやすい。
完全な読み物で図版はモノクロ。
画集を開きながら読み進めるのがおススメかも。
ちょっと古い本なので、現在とは異なる見解等あるのかもしれないが良い本だと思う。


★。、:*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜
 
狩野派決定版 (別冊太陽―日本のこころ)

狩野派決定版 (別冊太陽―日本のこころ)

  • 作者: 山下 裕二
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: ムック

~目次~
狩野派を知り、狩野派から学び、かの派の絵を体感する
二条城障壁画 ―御用絵師集団の底力
○戦国の世を生き抜く 正信・元信から永徳・光信まで
 狩野正信 狩野元信 狩野松栄 狩野秀頼 狩野永徳 狩野光信 狩野孝信 狩野内膳 狩野長信
○徳川幕藩体制との密着 探幽とその一門
 狩野探幽 狩野尚信 狩野安信 狩野常信 狩野守景 英一蝶
○不遇な実力派たち 山雪・山楽と京狩野
 狩野山楽 狩野山雪 狩野永納 狩野永敬 狩野永良 狩野永岳 石田幽汀
○御用絵師たちの血脈 晴川院養信から暁斎、芳崖へ
 狩野典信 狩野惟信 狩野栄信 狩野章信 狩野養信 狩野探信 河鍋暁斎 狩野芳崖 橋本雅邦
コラム
 ①絵師の人柄―正信・元信の場合
 ②障壁画再利用
 ③焼けてしまった狩野派作品 安土城
 ④粉本の効用
 ⑤発見!大臣旧蔵の狩野派屏風
 ⑥狩野派作品の宝庫 ボストン美術館
 ⑦焼けてしまった狩野派作品 名古屋城
 ⑧鑑定の達人・探幽
 ⑨狩野派の画論
 ⑩幻の巨大涅槃図
 ⑪「型」の継承―桐鳳凰図の場合
 ⑫狩野派の顔
 ⑬焼けてしまった狩野派作品 江戸城
 ⑭骨から顔が……復元された養信の顔
 ⑮狩野画塾の教育法
特別企画 驚愕の仏画 狩野一信筆「五百羅漢図」観覧気
特別付録 決定版狩野派系図 総勢三五〇余名
対談 狩野派四百年の血脈と実力
参考文献・協力者一覧
掲載作品索引


まさに、決定版!!
最初から、これ読めばいいじゃん!って一瞬思ったが、
その都度でっかい系統図を開きながらというのはけっこう大変そう。
最初の本では随所にコンパクトな系図があったので自然と頭に入っていった。
おかげで、この本を読んでいても、あ、誰々の子、孫ねって感じで流れを作りやすかった。
(もちろん、文章の中で説明はあるのだが。)
作品はもちろん、初めて聞く名もある。
特に、京狩野。
大きくて綺麗な写真、図版がいっぱい。
是非、手元に置いておきたい一冊。


★。、:*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜


おなじみ、もっと知りたいシリーズ。
コンパクトにまとまっていて読みやすく、図版もカラーで綺麗。
何よりこの薄さが魅力的♪

もっと知りたい狩野派―探幽と江戸狩野派 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたい狩野派―探幽と江戸狩野派 (アート・ビギナーズ・コレクション)

  • 作者: 安村 敏信
  • 出版社/メーカー: 東京美術
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 単行本

~目次~
はじめに
狩野派、そして江戸狩野派とは?
序幕 探幽前史
 1 室町後期 狩野家始祖の正信とその子元信
 2 桃山時代 天才永徳とその子光信
 3 桃山~江戸初期 京狩野の山楽・山雪・永納
 狩野派系図
第1部 狩野探幽
 天才か悪人か?巨人探幽の功罪
第1章 宰相・采女時代
 狩野派を知る1 探幽の障壁画制作―二条城二の丸御殿
第2章 斎書き時代
 狩野派を知る2 「写しとること」の喜び―写生の名手、探幽
第3章 行年書き時代
 狩野派を知る3 名鑑定士・探幽の残した手控え―「探幽縮図」
第2部 江戸狩野派の15人
第1章 江戸狩野・前半期
 1 狩野尚信 早世が惜しまれる趣味人
 2 狩野安信 宗家を継ぎ必死に努力した末っ子
 3 久隅守景 不肖の息子・娘に悩みながら描く父
 狩野派を知る4 注目したい可能派の女性画家
 4 英一蝶 三宅島に配流された吉原の一流幇間
 5 狩野常信 和歌を愛した遅咲きの才人
 狩野派を知る5 御用絵師は大忙し―奥絵師の仕事
第2章 江戸狩野・後期
 6 狩野典信 将軍家治に寵愛された奥絵師
 7 狩野栄信 おサボリ上手だが画技は抜群
 8 狩野養信 記録魔として絵師の実態も伝える
 狩野派を知る6 よみがえる江戸城の狩野派障壁画
 狩野派を知る7 狩野派の教育システム
 9 狩野章信 若隠居して吉原の老妓の弟子に
 10 狩野探信守道 自由な教育で異色の弟子を輩出
 狩野派を知る8 江戸狩野派のライバルたち
 11 狩野了承 将軍姫君の御用絵師として活躍
 12 沖一峨 求めに応じて器用に描き分ける
 狩野派を知る9 日本全国狩野派だらけ―諸藩の狩野派絵師
第3章 江戸狩野・幕末から明治へ
 13 狩野一信 鬼気迫る劇的表現に挑んだ異色画家
 14 河鍋暁斎 奔放な諷刺で世相を斬りまくる
 15 狩野芳崖 アップ・ダウンの激しい生涯
 狩野派を知る10 京狩野の個性派
コラム
 1 狩野派の子孫の行方
 2 探幽贋作者たち
 3 探幽の賃上げ闘争
 4 『画道要訣』は粉本主義の元凶か?
 5 意外に多い狩野派の仏画
 6 狩野派のお墓探訪
 7 巨大な正月の書き初め
 8 老中の文句にキレた「腹切融川」
 9 頭蓋骨から養信の顔を復元
 10 じつは浮世絵好きだった狩野派
 11 狩野派が生んだ異才たち
掲載作品を所蔵する美術館・博物館・寺社城郭
本書に掲載した作品索引




もっと知りたい狩野永徳と京狩野 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたい狩野永徳と京狩野 (アート・ビギナーズ・コレクション)

  • 作者: 成澤 勝嗣
  • 出版社/メーカー: 東京美術
  • 発売日: 2012/03/15
  • メディア: 単行本

~目次~
はじめに 永徳から京狩野へ
序章 永徳前史
 狩野派初代正信とその子元信
 天才永徳の父・松栄
第1部 狩野永徳
 概説 桃山時代を駆け抜けた狩野永徳
 第1章 天才少年の旅立ち―細画の時代
 特集1 二つの洛中洛外図屏風 激動の16世紀、都の姿が大変貌
 第2章 荒ぶる豪腕―大画の時代
 特集2 唐獅子図の系譜 画題に好まれた『百獣の王』
 第3章 怪奇様式への傾斜
 特集3 狩野永徳と長谷川等伯 画壇にも下克上の時代
第2部 永徳の後継者たち
 狩野光信 父永徳とは対照的な優美な作品
 狩野孝信 父永徳の豪快さと兄光信の優美さを受け継ぐ
 狩野長信 狩野派江戸進出の先鋒となった永徳の弟
 狩野内膳 戦国武将の家臣の子から豊臣家のお抱え絵師へ
 狩野甚之丞 狩野派最後の近世初期風俗画を描く
 特集4 無落款の作品をめぐって 傑作を残した画家たち
第3部 狩野山楽と京狩野
 狩野山楽 師永徳の作風を引き継いだ京狩野の祖
 狩野山雪 幾何学的な造形美を生み出す
 狩野永納 日本初の美術史論を著す
 狩野永敬 温雅なやまと絵と個性的な画風を使い分ける
 特集5 高田敬輔と曽我蕭白 京狩野の流れが生んだ奇想の画家
 狩野永岳 幕末に京狩野を復権させた立役者
おわりに 京狩野その後
本書に掲載した作品索引
コラム
 描かれる元気な子供たち
 人気があった狩野派の扇絵
 永徳の幸運
 塔頭の部屋割り
 秀吉特注のデザイン画
 永徳印の謎
 狩野宗秀―永徳の影武者
 園城寺観学院障壁画
 下手右京の汚名
 棟梁の気配り
 ライバル長谷川派へにじり寄る
 謎の京狩野画人・山卜
 京狩野の「三種の神器」
 七十二候図とは?
 親子二代の『本朝画史』


 
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永徳《檜図屏風》が1年半の修復を経て、現在展示されている。
《檜図屏風》の次は長信《花下遊楽図屏風》が展示予定。

修復前の《檜図屏風》
《花下遊楽図屏風》
ともに観たことがある作品。

花粉がいっぱい飛ぶなか檜の絵を観に行くか、
庭園の桜が咲いてから桜の絵を観に行くか。


東京国立博物館(http://www.tnm.jp/

 国宝 檜図屏風 狩野永徳筆 (安土桃山時代・16世紀)
 本館2室 2015年2月17日~3月15日
 修復により8曲1隻の屏風から4曲1双の屏風に
 1089ブログ 新装なった「檜図屏風」

 国宝 花下遊楽図屏風 狩野長信筆 (江戸時代・17世紀)
 本館2室 2015年3月17日~4月12日
 ※「桃山時代の狩野派 永徳の後継者たち」(京都国立博物館)後期展示予定


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「桃山時代の狩野派 永徳の後継者たち」

 2015年4月7日(火)~5月17日(日)

 京都国立博物館 明治古都館(本館)

 京都国立博物館(http://www.kyohaku.go.jp/jp/

 公式サイト(http://kano2015.jp/


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コメント 4

kuwachan

りゅうさん、ハマってますね^^
日本の画壇で狩野派を抜きには考えられないですものね。
個人的にはやっぱり永徳かな~って思っています。
あの辺は歴史的にも面白いし。
by kuwachan (2015-03-03 12:37) 

naonao

ボストン美術館って日本のいいものをたくさん持っていますね。私も何年か前に江戸東京博物館でボストン美術館が持つ浮世絵展を観たことがありましたが、その作品が半端なかったです。実際にボストンに出かけて観てみたいと思いました。
by naonao (2015-03-04 12:18) 

りゅう

○ kuwachanさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
狩野派はなかなか手が出せませんでした。
でも、そろそろかなぁなんて。(*^_^*)
永徳はお城とともに焼失してしまったものが多いだけに、
現存するものはとても貴重で鑑賞する機会も少ないですよね。
春の京都レポはkuwachanさんのお任せします♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ
京都行きたいなぁ。

○naonaoさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
ボストン美術館は作品の質も保存状態も大変素晴らしいですよね。
昨年の印象派と浮世絵の展示はとても興味深く刺激的でした。
次のボストン美術館展はいつなのかなぁ、何が来るのかなぁって、
ついつい期待しちゃいます♪

○pistacciさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○TaekoLovesParisさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○makimakiさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○にいなさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○ぽんこさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○ネオ・アッキーさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2015-03-16 23:18) 

りゅう

○いっぷくさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2015-04-27 01:54) 

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