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クレオパトラ [アート]

先日の「ダ・ヴィンチの白鳥たち」の著者カレン・エセックスのデビュー作。
こちらの作品にも鼻血が出そうなすんごい描写がいっぱいありました。
こっちの方がもっと凄いかも。。。(* ̄m ̄) プッ

もちろんこちらも歴史小説です。

クレオパトラ〈1〉神々の血を継ぎし娘 (角川文庫)

クレオパトラ〈1〉神々の血を継ぎし娘 (角川文庫)

  • 作者: カレン エセックス
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 文庫

幼い頃から巧みに多言語を操るほど図抜けた知性を持ち、父王に手中の珠として寵愛を受けたクレオパトラ。だが、王家には常に不穏な影が漂っていた。父王を懐柔しようとする姉テイア、獰猛な姉ベレニケ、王女を操り王家を意のままにしようとする宦官たち…。そして大ローマがエジプトをまさに飲み込もうとした時、王室の骨肉の争いの火蓋は切って落とされ、この国の運命の歯車が、一人の少女の決意と共に廻り始めた!憎しみと裏切りの渦の中で、決して揺るがぬ強さで激しく生き抜こうとした、少女の物語。(Amazonの商品説明)


クレオパトラ〈2〉エジプト最後の女王 (角川文庫)

クレオパトラ〈2〉エジプト最後の女王 (角川文庫)

  • 作者: カレン エセックス
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 文庫

豊かな国力、そして溢れる若さと知性を武器に、美しきエジプト女王クレオパトラは、ローマの将軍カエサル、そしてアントニウスと対峙する。ローマの偉大なる二人の男に愛され、一人の女としての幸せに身を委ねるクレオパトラ。だがその喜びの裏には常に、男らの野心と渡り合い、国を守らねばならないファラオの宿命がつきまとっていた。国を愛し、強い心で大国と戦い続ける女王。しかし、最期の時は着実に迫っていた…。世界中の誰よりも、愛と憎しみ、歓喜と絶望のすべてを味わいつくした、波乱の女王の生涯。(Amazonの商品説明)

 
エジプトの女王、クレオパトラ。

名前は知ってるけど具体的には何も知らなかったので、
なかなか興味深く読みました。

今まで古代エジプト美術を観てもチンプンカンプンだったので
何かきっかけになればと思い。。。

は巻末の年表を含めて478ページ
は訳者あとがきを含めて623ページ


すごいボリュームなうえに、
全く知らない世界(ほぼ知識ゼロ)のため、
途中で戻って読み直してみたり、
冒頭にある、地図、家系図、登場人物を何度も確認したり。

文庫本ですが、
読み終えるのにかなりの時間を要しました。

クレオパトラは絶世の美女だと思っていましたが、
この本の内容からすると、どうやらそうでもなかったらしい。。。
まぁ、美女には違いないようですが。

ユリウス・カエサル(英名ジュリアス・シーザー)とクレオパトラの関係についても
全く知らなかったのでとても興味深い内容でした。
もしかしたら世界史の授業で出てきているのかもしれませんが、
私は世界史アレルギーですから。(* ̄m ̄) ププッ
(でも、最近、世界史の本をイッショウケンメイ読んでいます・・・成果は不明)

エジプトについての本のようでいて、実は、ローマがメインのようでもある。
当時、ローマがヨーロッパ(当時の価値観では全世界)をほぼ支配している。
その影響が海を隔てたエジプトにも及ぶ。
平和を望むエジプトのプトレマイオス王朝とその富をねらる野蛮なローマ。
裏切りと殺戮が繰り返される権力争い。
王として、女王として、一人の男として、一人の女性として、様々な思いが交錯する。
国のために、国民のために、何をすべきか、何が最良の選択か。

かなり読み応えのある興味深い内容。

もっとも、2000年以上前の話なので、
何処までが事実で何処が誇張で何処からがフィクションなのかなんてよくわからないが、
そのあたりはそれほど重要なことではない。
これは学術書ではないのだから。


傲慢、貪欲、淫欲、憤怒、大食、嫉妬、怠惰
7つの大罪、紀元前のローマ人そのものって感じだった。。。(>_<)


これだけのボリュームなので時系列的にだらだらと記述すると
読み手が飽きてしまうということなのだろうか。
ⅡはⅠから続く時系列的な内容とクレオパトラの最晩年の記述が交互に展開する。
予備知識が無いのでとても読み辛く感じ、頭の中が混乱した。
訳者あとがきではこの展開を「趣向を凝らした語り口」と表現しているが、
私にはムダにこねくり回しただけにしか思えなかった・・・(>_<)

訳者あとがきより抜粋(P620-623)
「 二世紀のギリシアの著述家ブルタルコスは『英雄伝』で、クレオパトラについてつぎのように書いている。けっして比類なき美女ではなかったが、彼女との交際には逃れようのない魅力があった。声は甘美で、その舌は楽器の弦のように、あまたの言語を話した。彼女より前のエジプトの諸王はエジプト語さえ学ぼうとしなかったのに、彼女はプトレマイオス王家ではじめて民の言葉を話す女王になった-。こんな記述から浮かんでくるのは、多言語を巧みに使いこなし、洗練された会話で国賓をもとなす知的な女王の姿だ。しかし、伝説や神話のなかのクレオパトラは、必ずしもこの知的な女王の姿とは合致していない。
 むしろ伝説のクレオパトラは、天下の美女の誉れは高いものの、カエサルとアントニウスをたぶらかし、彼らの失墜を早めた女、ともすれば悪女として語られている。絵画作品に描かれたクレオパトラは、オリエント風の衣装の胸もとをはだけて、乳房もあらわに、片手に持った蛇をいましも柔肌にあてがおうとする姿であることが多い。美しく官能的でドラマチックではあるが、女王としての威厳があまり感じられない。なぜこうなったのだろう。マルチ・リンガルの才女は、なぜ宿命の女、妖婦、悪女といったイメージを植えつけられてしまったのか。

 『クレオパトラⅠ・Ⅱ』(原題“Kleopatra”と“Pharaoh”)の著者、カレン・エセックスはその理由をズバリと言い切っている-『クレオパトラの死後、オクタヴィアヌスがエジプト女王の評判を貶める一大キャンペーンを行ったから。クレオパトラほど歴史と神話によってねじ曲げられた女性はいません。クレオパトラだけではなく、権力を手にして歴史に名を残した女性は、つねに誰かと寝たかを問われ、寝た相手を失脚させた罪を責められてきたのです。』

 ・・・『クレオパトラⅠ』では、三百年にわたってエジプトを支配するプトレマイオス王朝の王女として産まれたクレオパトラが血筋の誇りに目覚め、ローマに恐れと憧れを同時にいだきつつ、王位をめぐる政争に巻きこまれていく過程を描いている。そんな骨肉の争いのさなか、若きクレオパトラは国の存亡を賭けて、アレクサンドリアに上陸したローマの大将軍、ユリウス・カエサルに秘密で会いに行くことになる。
 ここで『クレオパトラⅠ』は終わっているのだが、『クレオパトラⅡ』では、いきなり海辺の館に引きこもる傷心のアントニウスが登場する。時は一気に十七年ほども進み、クレオパトラとアントニウスは、カエサルの後継者オクタヴィアヌスの巧みな煽動によってローマの敵と見なされ、部下の離反が相次ぎ、追いつめられた状態にある。物語は、そこからふたたび過去に遡るかたちでカエサルとの出会いやアントニウスとの栄光の日々を語っていく(原書の英語では『クレオパトラ治世二十年』以降が現在形で、それ以前が過去形で書かれているため、訳出にもそれを反映させた。)この趣向を凝らした語り口によって、神がかり的で虚無的な世界観さえいだくカエサルと、いかにも人間くさく快楽と人生を愛するアントニウスという作者のふくらませたふたりの人物像の対照が、いっそう際だっているように思われる。



昨年あたりから宗教画がとても気になるようになり、
今年はボルゲーゼ美術館展とカポディモンテ美術館展を鑑賞の軸に据えていました。
今年はフランス印象派の展覧会が目白押しにもかかわらず。。。

意識していませんでしたが、ボルゲーゼもカポディモンテもイタリアの美術館でイタリア美術がメイン。
この「クレオパトラ」も「ダ・ヴィンチの白鳥たち」も、
ベルニーニ彫刻が出てくるダン・ブラウン「天使と悪魔」も舞台はイタリア。

どうやら今年は、私にとってはルネサンスやバロックを中心としたイタリア年だったようです。
まぁ、そーゆーのもありでしょう。ワタクシは天邪鬼ですから。(* ̄m ̄) ププッ

久しぶりにイタリアワインでも飲んでみようかな♪
そういえばなんだかドタバタしていて、
最近はワインを飲んでないなぁ。。。(^_^;)



カレン・エセックス「ダ・ヴィンチの白鳥たち」
  (http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2010-10-15

ダン・ブラウン『天使と悪魔』(映画&原作本)
  (http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2010-08-11

絵画で見る天使と悪魔
  (http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2010-08-03

絵画で読み解く聖書と神話の世界
  (http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2010-02-03

ボルゲーゼ美術館展
  (http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2010-09-29
 ※おでかけ記録はこちら(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2010-04-02

カポディモンテ美術館展も
  記事ができたら(何時?)ここにリンクを入れようと思います。。。(^_^;)
 ※おでかけ記録はこちら(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2010-07-27


ベルリオーズ:幻想交響曲

ベルリオーズ:幻想交響曲

  • アーティスト: ベルリオーズ,ゲルギエフ(ワレリー),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/10/01
  • メディア: CD

叙情的情景「クレオパトラの死」という曲はこのCDで初めて聴きました。
これがなかなか、いや、かなり良い曲でして♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ


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コメント 13

kumimin

クレオパトラ…神秘的なイメージですよね。
でも、実はすっごくドロドロしているドラマみたいな世界で実の姉妹での殺意や最後は寝とったオクタビアヌスの妻に国ごと滅ぼされちゃうとか…怖い世界なんだけど(^^;
by kumimin (2010-11-03 22:37) 

kuwachan

クレオパトラというと、おかっぱ頭をすぐ思い出してしまいますが
本当にあの髪型だったのでしょうか。映画の印象が強すぎるのかしら^^
by kuwachan (2010-11-04 12:58) 

りゅう

○kumiminさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
姉、弟や妹は私利私欲のために権力の座が欲しいだけで国を統治する能力は無かったようですが、クレオパトラは国のために国民のために何をすべきか何ができるのかということをしっかりと考えていた才女だったようです。
また、母として我が子に国を継がせる為にどうすべきか何が必要かということも。子どもたちは国を統治するための教育を受け、またそれだけの能力・資質を備え国民からも信頼されていましたが、最後は暗殺されてしまいました。。。
そしてクレオパトラは絶望の中で最後を向かえることに。
おもいっきりクレオパトラに感情移入してしまいました。。。(T_T)

○kuwachanさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
私もおかっぱ頭のイメージがありましたが、衣装としてのカツラを複数持っていて場面に応じて使い分けていたようです♪
才色兼備のとってもオシャレな女王さまですからね。(^_^)

○りんこうさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○TaekoLovesParisさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○PENGUINGさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○にいなさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○thisisajinさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-05 22:39) 

りゅう

○伽耶さん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-06 22:45) 

poyoyon

この本「クレオパトラ」 友人に借りて3年ぐらい前に
読み始めたのですが。。。 敢え無く途中断念(><)
もう一度トライしてみようかな!
by poyoyon (2010-11-07 12:13) 

りゅう

○poyoyonさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
クレオパトラが父王とともにローマへ向かうあたりからでしょうか、
次第に夢中になり、一気読みしちゃいました!
読書の秋、この機会にもう一度トライしてみてはいかがでしょう♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ

○タッチおじさんさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-08 01:06) 

りゅう

○雅さん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-08 21:22) 

りゅう

○mickyさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-10 01:38) 

TaekoLovesParis

クレオパトラは、エリザベス・テイラー主演の映画をビデオで数回見ました。だから、ここを読みながらも、映画のいろいろなシーンが浮かびます。
でも、なぜ、映画のクレオパトラ像のような神話になってしまったのかと
思ったら、<オクタヴィアヌスがエジプト女王の評判を貶める一大キャンペーンを行ったから>だったんですね。
ローマもエジプトも遠い昔なのに、共感できる部分がたくさんありますね。
それくらい人間の本質が変わってないってことですね。七つの大罪は、
今も大罪ですものね。
新しいものを生む力を持っているイタリアは知れば知るほど、魅力的ですね。
by TaekoLovesParis (2010-11-12 00:31) 

りゅう

○Taekoさん、こんにちは。コメントありがとうございます(^o^)丿
「ダ・ヴィンチの白鳥たち」の文章がとても興味深かったので、
デビュー作となるこちらの本も読んでみました♪
あの対比文章はこの下巻の行ったり来たりが洗練されたもののようです。
実は、映画を見ていないんですよね。。。
とても良くできた映画だという話は耳にしているのですが。(^_^;)
具体的なイメージを持っていなかったため(単なる無知!)、
良くも悪くも本の世界に没頭することできました♪(^_^)
今も昔も、情報操作による洗脳も大罪も何ら変わらないようです。
人間は、2000年たっても本質的には何も成長・進化していないようです。
(/ー\*) イヤン♪

○ミカチさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-14 17:04) 

りゅう

○いっぷくさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-14 22:07) 

りゅう

○laysyさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○ぽんこさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○pistacciさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-20 09:05) 

りゅう

○yukitanさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2010-11-27 13:50) 

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