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真珠の耳飾りの少女 (本) [アート]

先日、図書館で借りてきました。

映画『真珠の耳飾りの少女』の原作(日本語版)です。

最初に読んだのは昨年のフェルメール展鑑賞後。

そのときに、後でもう一度読み返したいという思いが強かったので、

上野のルーヴル美術館展鑑賞前に読み直すことにしました。


真珠の耳飾りの少女

真珠の耳飾りの少女

  • 作者: トレイシー シュヴァリエ
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 単行本


商品の説明
この世に残したのはわずか35作品だが、オランダ人画家ヨハネス・フェルメールは17世紀芸術を代表する、いまだに謎の多い人物の1人だ。わずかに残る法的書類からでは、その人生を十分にうかがい知ることはできない。しかし、光と質感を巧みに操り日常生活を描いた数々の名作で、フェルメールはオランダ芸術の黄金時代を象徴する画家となった。特に、無名の少女を描いた肖像画「真珠の首飾りの少女」は、何世紀にもわたり、見る者を魅了し続けてきた。そしてこの人を引きつけてやまない名画が、トレイシー・シュヴァリエの2作目となる同名小説のモチーフとなっている。
『Girl With a Pearl Earring』(邦題『真珠の耳飾りの少女』)の舞台は1660年代。オランダ西部の都市デルフトに暮らす裕福なフェルメール一家の様子が中心に描かれていく。この一家の召し使いとして、グリートという控えめだが頭のいい本書のヒロインが雇われたことで、さまざまな波紋がフェルメール家に生じていく。このわずか16歳のヒロインが主人フェルメールと急速に親しくなっていったのがはじまりだった。やがてフェルメールは彼女を助手として取り立て、ついにはモデルに起用することとなる。嫉妬深い画家、絶えず妊娠しているその妻やむっつりした義母などを軸に、一家に漂うなんとも複雑な緊張感をシュヴァリエは見事に再現している。「召し使いとその主人」という関係がやや時代遅れに思えるくだりもあるが、『Girl With a Pearl Earring』には、最終的にうまいと思わせる工夫が凝らしてあるのだ。
シュヴァリエは終始一貫して、明快かつ綿密で鋭い観察力に基づいた見事な筆さばきを披露する。シュヴァリエが画家フェルメールへ捧げるオマージュが、そのきめ細やかな文章から読者にも伝わってくる。毎日グリートがこなす一番単調な仕事の様子でさえ、シュヴァリエの手にかかると控えめな輝きを放ち、幸福感に満ちた光景となる。
御主人様が薬屋からお持ち帰りになった象牙や鉛白、セイヨウアカネ、一酸化鉛。そういった材料を混ぜ合わせて絵の具を作るお仕事がだんだん好きになってきた。輝いてまじり気のない美しい色を出せると、本当にうれしいのだ。材料を念入りに混ぜれば混ぜるほど、色にはいっそう深みが出てくる。ざらざらとした冴えないセイヨウアカネの粒がしだいに燃えるような赤い粉へと姿を変え、そこにアマニ油を混ぜると、目の覚めるような色をした絵の具のできあがりだ。うまく混ぜ合わせれば、ほかの色も魔法のように出すことができる。 シュヴァリエによると、このように詳しく描かれた日常のささいな事柄は、サイモン・シャーマの名著『The Embarrassment of Riches』からヒントを得たらしい。本書は、ここ最近次々と発表された画家をテーマにした一連の作品、デボラ・モガッハの『Tulip Fever』 や スーザン・ブリーランドの『Girl in Hyacinth Blue』の流れをくむものだろう。それにしても、このオランダの芸術黄金時代に題材を見い出した小説はこれからも発表されるのだろうか? この疑問を説くには時間がいるが、現時点で『Girl With a Pearl Earring』は思索的な歴史フィクションであり、画家フェルメールの魅力的な新しい一面を引き出した傑作だ。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

出版社/著者からの内容紹介
画家フェルメールの家に奉公に出た娘フリートは、主人への淡い思いを募らせ、ついに絵のモデルになる。しかし二人に悲運が……。謎に包まれた巨匠の光と影に迫る全米ベストセラー小説!


廉価版もあるようだ。

真珠の耳飾りの少女 (白水Uブックス)

真珠の耳飾りの少女 (白水Uブックス)

  • 作者: トレイシー シュヴァリエ
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 単行本


映画版を録画して何度も見ていることもあり、
物語の情景が鮮明にイメージできる。

映画ではカットされている部分、映画とは異なる部分、映画と全く同じ部分。
そして、フェルメールの作品。

映画ではオランダの光、フェルメールの光の描写等が繊細かつ優雅に映像化されていたが、
この原作では主人公の女性はもちろん、フェルメールやその家族の心理描写が素晴らしい。
映画の映像美や原作の心理描写等、
文字では表現できないもの、映像では表現できないもの、それぞれの面白さ、魅力がある。
原作と映画を対比させることで浮かび上がってくるものもある。

ものがたり・つくりものではあるが、
当時のデルフトの様子やフェルメールの作品、家族等、史実に沿っていて、
しかも、とても綺麗な文章、表現で、どこが事実でどこが想像の世界なのか区別がつかない。
本当に、「素晴らしい!」の一言に尽きる。

映画ではイマイチ曖昧な感じがしたり、よくわからなかった部分が、
原作を読むことでクリアーになり、なんだかとてもスッキリした♪(^_^)

作者も翻訳者もフェルメール好きでフェルメール作品に対する深い知識と理解がないと、
これだけの文章を書き、訳すことは出来ない。

『訳者あとがき』を読むだけでもそのあたりは十分伝わってくると思います。
「本当かよ~???」とお疑いの方は、立ち読みでかまわないので、
このあとがきだけでもチェックしてみてはいかがでしょう?(^_-)

現在来日中の《レースを編む女》は登場しないものの、
女中がレースを編んだり針仕事をしている場面は登場する。
そのため昨年読み終えたとき、
ルーヴル美術館展鑑賞前にもう一度読み、
それから感想をアップしようと思っていました。

昨年、感想をアップした有吉さんの恋するフェルメールとともに、
フェルメール好きの方に是非おすすめしたい1冊♪
もっとも、フェルメールが大好きな方は2冊とも既に読んでいることと思いますが。(^_^;)

この2冊を読むとき、
画集を手元におき登場する作品をその都度チェックしつつ読んでいくと、
あたかも自分がその場に居合わせ体験しているかのような錯覚に陥る、
とっても妖しくとっても魅力的は本です。(^_^)


描いたフェルメールはもちろん、
それを元に書き上げた原作者と翻訳者、
さらには映像化に成功した映画監督、
本当に素晴らしい! ブラボー!!キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー


恋するフェルメール―36作品への旅

恋するフェルメール―36作品への旅

  • 作者: 有吉 玉青
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 単行本


感想記事(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2008-07-20


真珠の耳飾りの少女 通常版

真珠の耳飾りの少女 通常版

  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • メディア: DVD


感想記事(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2005-09-17


おっと、こちらも忘れてはいけませんね!
シャープ:TVCM「世界の名画」シリーズ第8弾 AQUOS(「フェルメール」篇)
感想記事(http://ryuu.blog.so-net.ne.jp/2008-04-11
この映像美も素晴らしかった!! ブラボー!ブラボー!!(^_^)/


★。、:*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜

「国立西洋美術館開館50周年記念事業/日本テレビ開局55年記念事業 ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」

2009年2月28日(土)~6月14日(日)

国立西洋美術館(http://www.nmwa.go.jp/index-j.html

国立西洋美術館




公式サイト(http://www.ntv.co.jp/louvre/
「ルーヴル2009」ポータルサイト(http://www.louvre2009.jp/

国立西洋美術館前の看板(ルーヴル美術館展予告編)


西洋絵画の巨匠 (5) フェルメール

西洋絵画の巨匠 (5) フェルメール

  • 作者: 尾崎 彰宏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 大型本



フェルメール  ――謎めいた生涯と全作品  Kadokawa Art Selection (角川文庫)

フェルメール ――謎めいた生涯と全作品 Kadokawa Art Selection (角川文庫)

  • 作者: 小林 頼子
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/09/25
  • メディア: 文庫



それにしても、良かったのか悪かったのかよくわからないが、
読書中終始一貫してイメージされたのはフェルメールの描いた少女ではなく、
ぽか~んと口をあけたスカーレット・ヨハンソンの演じた少女だった。。。
私には映画版のインパクトが強すぎたようだ。。。(^_^;)


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コメント 10

りゅう

○Fumikoさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○にいなさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○TaekoLovesParisさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○naonaoさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2009-04-04 18:49) 

りゅう

○ぽんこさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○yukitanさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2009-04-07 01:20) 

kumimin

ちゃんと予習を!
さすが、りゅうさんですね=^^=
映画版、スカーレットヨハンソンとコリンファース♪
コリンファースってこういう役似合うなあと思って見てました。

by kumimin (2009-04-08 22:59) 

りゅう

○kumiminさん、コメントありがとうございます(^o^)丿
さすが、イケメン好き♪目の付け所が。。。(^_^;)
コリンファースはまり役でしたね~
「絵画芸術」に描かれている後ろ姿そのまんまって感じで。(^_^)
映画ではおまけ程度の扱いだった肉屋の息子が、
原作ではとっても重要なポジションにいました♪(^_^)/
by りゅう (2009-04-11 11:16) 

laysy

映画は見ていないのですが、小説の方は読んだ事があるみたい…
図書館でパラパラっとめくって、大急ぎで読んだというか…
落ち着いて読んでいないので記憶は定かではないので、
これは改めて図書館へ行かないと…
by laysy (2009-04-12 17:31) 

りゅう

○laysyさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
この映画、フェルメールの光が見事に表現されていて、とても映像がきれいです。
原作とともに是非!(^_^)/

○いっぷくさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2009-04-13 00:36) 

miyoko

真珠の耳飾りの少女、映像でみました~♪
フェルメール、好きです。。

by miyoko (2009-05-17 21:08) 

りゅう

○miyokoさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
とても綺麗な映像で見応えのある映画でしたね。
私もフェルメール大好きです♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ
by りゅう (2009-05-18 20:47) 

kuwachan

こんにちは。
りゅうさんTBありがとうございます。
気がつくのが遅れてごめんなさい。
なんで私ここのnice!していないの?って思ったら
次の記事から登場でした(^^ゞ
私も今この小説をよんだら、絶対にスカーレット・ヨハンソンと
コリン・ファースばかりが思い浮かぶと思います。
by kuwachan (2011-03-29 13:02) 

りゅう

○kuwachanさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
原作本面白かったですよー
映像で見た後は場面がイメージし易くて良いですね。
しかもスカーレット・ヨハンソンとコリン・ファース、美男美女ですし。(^_^)
by りゅう (2011-04-03 00:42) 

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