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ピサロ展 -家族と仲間たちー [08展覧会感想]

大丸ミュージアム東京で開催されていた「オックスフォード大学・アシュモリアン美術館蔵 印象派の巨匠 ピサロ展 -家族と仲間たちー」を観に行きました。この展覧会は「UK-Japan2008」公認イベントのひとつとして開催されるものです。
「19世紀後半、フランスで生まれた芸術運動“ 印象派”。その中心的な画家カミーユ・ピサロ(1830~1903)は、自然の風景や田園で働く素朴な人々の営みをありのままに描き、近代の画家に大きな影響を与えてきました。ピサロは全8回に及ぶ印象派展すべてに参加した唯一の画家であると同時に、グループの指導者・教育者として多くの画家から父のように慕われていたことでも有名です。彼の子どもたちも父に薫陶されて画家への道を志し、中でもイギリスに渡った長男リュシアンは新印象主義の発展に貢献する一方、自ら私家版印刷工房を立ち上げ、版画制作の分野で際立った功績を残しました。 本展は1683年に開設されたイギリス最古の美術館「オックスフォード大学・アシュモリアン美術館」コレクションから、リシュアンの死後寄贈されたピサロ家の画家たちを中心に、ピサロの作風に影響を与えたコロー、ミレー、ドービニーらバルビゾン派の作品や、親交のあったクールベ、マネ、ルノワールら同時代画家の作品も併せて展覧し、印象派の巨匠・ピサロの業績を紹介します。」

~展示構成~
Ⅰ.ピサロと風景画 Ⅱ.ピサロと田園生活 Ⅲ.ピサロ家の人たち
 
まずはピサロが直接師事していたカミーユ・コローの作品。《ヴィル=ダヴレー近くのル・プティ・シャヴィル》はいかにもコローといった色合い。《モンフェルメイユ、森の小川》は森の中を描いた緑が深い作品。印象派の展覧会というと、お約束のように印象派に直接的に影響を及ぼした画家としてコローの作品が数点展示される。それも前座的な扱い。。。8月にコローの大規模な回顧展を鑑賞しコローの素晴らしさに触れたこともあり、このような扱いにとても違和感を感じる。ブーブーブー
スタニスラス=ヴィクトール=エドゥアール・レピーヌ《ラ・ガレンヌ・サン=ドニのセーヌ川》はコローとドービニーを足したような作品。優しい感じでいい。

カミーユ・ピサロ《薄紅色のしゃくやく》
カミーユ・ピサロ《薄紅色のしゃくやく》は優しい色合いの作品。芍薬の花弁のやわらかさとボリュームが素晴らしい。そういえば、ピサロの静物画があまりみたことないかも~ヾ( ̄ー ̄)ゞ
カミーユ・ピサロ《モンフーコーの農場:雪の効果》はその荒いタッチから、冬の寒さ、厳しさがひしひしと伝わってくる素晴らしい作品。飾りっ気のないありのままの現実を描いているところに共感が持てる。

カミーユ・ピサロ《窓からの眺め、エラニー=シュル=エプト》
カミーユ・ピサロ《窓からの眺め、エラニー=シュル=エプト》は綺麗な点描画。自室からの眺めだそうだ。
カミーユ・ピサロ《サン=ラザール通り、パリ》
このシリーズは好き♪ピサロというと、エラニーシリーズとこの町並みの2パターンのイメージが強い。両方とも好き♪

カミーユ・ピサロ《チュイルリーの庭園、雨天》
カミーユ・ピサロ《チュイルリーの庭園、雨天》
はこの展覧会で一番のお気に入り。せっかくの庭園もあいにくのお天気。ひんやりとした空気が感じられる。この銀灰色はパリの雰囲気だそうだ。どんよりとして空気がちょっと重いけど、とても見応えがある。
カミーユ・ピサロ《えんどうの支柱を立てる農婦たち》は明るく優しい作品。扇面画。この扇形がいい味を出している♪O(≧∇≦)O イエイ!!タイトル通り、えんどう豆の支柱を立てている場面。とてものどかな感じ。
カミーユ・ピサロ《うちわを持つジャンヌ》は・・・(T_T)寂しげ・・・

ダイアナ・ホワイト《谷の霧、ストガンバー》は近くだとボケボケ、離れて観ると浮かび上がってくるようで幻想的。
シャルル=エミール・ジャック《羊飼いの女と水のみ場の群れ》はもこもこの羊がナイス!この人の作品は今までにも何度か見ていると思います。やっぱり、もこもこの羊の記憶。(^_^;)

リュシアン・ピサロ《聾者の家、エラニー》は家が可愛い。お菓子の家みたい。
リュシアン・ピサロ《イースト・ノイル教会:雪》は雪の色がほんのりピンク色に見え、昨年のモネ展で鑑賞した《カササギ》を思い出しました。(^_^)
リュシアン・ピサロ《クグーサ峠、日没》は日没の朱色が綺麗だった。
フェリックス・ピサロ《ねずみ》はかわいいねずみ。印象派のような明るい色彩に日本画のような描き方。よく年賀状に印刷されているような感じの。そういえば、もうすぐ終わっちゃうけど、今年はねずみ年だ。ほとんど忘れてた。。。(^_^;)

全体的にこじんまりとした印象の展覧会。カミーユ・ピサロの展覧会というよりは、ピサロ一家の展覧会といった感じで、期待していた内容とはちょっと違った。(何を期待してたんだ?(^_-))
直前に上野で大琳派展を鑑賞したこともありとても地味に感じた。この後、六本木でピカソ展(2つ)を鑑賞したため、この展覧会がさらにさらに地味に、とっても影の薄いものとなってしまった。ピサロ好きとしたことが・・・(ノ_<。)うっうっうっ
土曜日の午後でしたが、ガッラガラに空いていました。大琳派展の大混雑とのギャップが凄まじく、なんだか逆に落ち着かなかった。程よくお客さんがいるほうがいいかな~(^_^;)移転してからは初めて。珍しく今回は作品リストもありました。(※展示室には置いてありませんでしたが、受付のお姉さんに尋ねると出してくれました。(^_^)/)

・図録:2100円

大丸ミュージアム(http://www.daimaru.co.jp/museum/index.html

【高松展】 高松市美術館 2008年4月4日~5月18日
【京都展】 美術館「えき」京都 2008年8月30日~10月5日
【東京展】 大丸ミュージアム東京 2008年10月9日~10月27日
【いわき展】 いわき市立美術館 2008年11月1日~12月14日

大丸東京店



~毎日新聞 2008年10月8日~
 フランスで活躍したカミーユ・ピサロ(1830~1903)は、パリで始まった美術運動「印象派」をけん引した画家の一人である。ピサロの作品をはじめ、コローら影響を受けた画家、ピサロ自ら絵を教えた5人の息子の絵画や版画約90点を併せて紹介する「オックスフォード大学・アシュモリアン美術館蔵 ピサロ展-家族と仲間たちー」が9日から、大丸ミュージアム・東京で開かれる。緑あふれる自然の風景や市井の人々を描いた絵画を通して、ピサロの人柄にもふれることができそうだ。

 カリブ海に浮かぶ旧デンマーク領、セントトーマス島で生まれたピサロが、画家を目指してパリへ到着したのは25歳の時。目にした多くの絵画の中でも、とりわけコローに感銘を受けた。直接指導を仰ぎ、明暗の対比を生かした風景画に取り組んだ。クールベの思想にも刺激を受けた。
 そんなピサロが、モネやドガ、セザンヌらと第1回印象派展を開いたのは1874年。86年までに計8回開かれた同展に、欠かさず参加した唯一の画家となった。グループの指導者的存在としても活躍。セザンヌも「何かしら良き神のごとき存在」とたたえたという。
 印象派発足時は、ミレーに触発されて農民の生活や田園を主題とする作品群を発表。後年には、新印象主義の点描を試みたり、都市の風景を描いたりして作風の幅を広げた。
 ピサロはまた、自らの芸術一家を主導した偉大なる父親でもあった。8人の子供のうち息子5人、孫娘1人が画家として活躍。特に、英国に渡った長男リュシアンは、印象派の事情に通じていることもあって活躍できた。ピサロの後年の画風に似た絵画を発表する傍ら、私家版印刷工房を設立し、版画制作に力を注いだ。
 本展の出展作品はすべて、イギリス最古の美術館、オックスフォード大学・アシュモリアン美術館(1683年設立)のコレクションだ。中でもリュシアンの死後、家族から寄贈されたピサロ家の作品、書簡などの資料は数千点にのぼり、今や印象派研究の重要な情報源となっている。
 本展は、ピサロの生涯と芸術性を楽しめると同時に、ピサロ一家の強固なつながりを確認できる貴重な機会である。


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チケットのデザインは《チュイルリーの庭園、雨天》
ポストカードよりチケットの方が好みの色合いだったりして・・・(ーーA;; アセアセ

ピサロ/砂の記憶―印象派の内なる闇

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  • 作者: 有木 宏二
  • 出版社/メーカー: 人文書館
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 単行本

ピサロ (アート・ライブラリー)

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  • 作者: クリストファー ロイド
  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 1994/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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R-Month

ほい、一番海苔っと。
最近、りゅうさんのブログ見てなんか見に行った気になってしまってます。
現物見ないとダメなのにね。。
by R-Month (2008-12-27 08:14) 

laysy

ピサロ…優しい色使いですね〜
芍薬とチュイルリー公園が綺麗〜
by laysy (2008-12-27 20:49) 

りゅう

○R-Monthさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
会期中に感想記事をアップできたらよかったのですが、
こんなに遅くなってしまいました。。。(ーーA;; アセアセ
ここで取り上げているは展示の一部ですし、私の感想はその日の気分や体調でコロコロ変わります。是非、現物を見て直接にその作品の持つパワーを感じ取ってください。(^_^)/

○laysyさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
チュイルリー公園の絵は釘付けになりました。
空いていたので独り占めですよ~♪(≧▽≦)b
ピサロは大好きな画家の一人ですが、知らないことだらけだということをこの展覧会で思い知らされました。。。(^_^;)

○xml_xslさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○shinさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○yukitanさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○にいなさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○ぽんこさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿

○常夜さん、はじめまして。nice!ありがとうございます(^o^)丿

○TaekoLovesParisさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2008-12-28 22:27) 

りゅう

○Mineosaurusさん、はじめまして。nice!ありがとうございます(^o^)丿

○翠川与志木さん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2008-12-29 23:35) 

りゅう

○いっぷくさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2008-12-31 09:45) 

りゅう

○Takさん、TBありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2008-12-31 23:33) 

naonao

ピサロって家族で画家だったのですね。知りませんでした。
コローが前座的な扱いだなんて確かに納得できませんね。
by naonao (2009-01-01 23:04) 

りゅう

○naonaoさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
ピサロ一家凄いです!ビックリしました!!
コロー展での素晴らしさを考えるとこのような扱いには疑問を感じますが、
ピサロもまた印象派展では脇役にされてしまうんですよね~
全8回に参加した唯一の画家なのに。。。(^_^;)

○kumiminさん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2009-01-02 22:28) 

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