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シュルレアリスム展-謎をめぐる不思議な旅 [07展覧会感想]

埼玉県立近代美術館で開催されていた「シュルレアリスム展-謎をめぐる不思議な旅」を観に行きました。この展覧会は20世紀の革命的な芸術運動であったシュルレアリスムに焦点をあて、その代表的な西洋の美術家約30名をとりあげてシュルレアリスムをわかりやすく紹介し、その全体像を読み解いていくものだそうです。岡崎市美術博物館、宮崎県立美術館、姫路市立美術館のコレクションを中心に、国内の主要な所蔵美術館が協力・連携して全国5会場を巡回するもので、ダダから後期シュルレアリスムまで、重要でありながら、これまで日本ではほとんど紹介されなかった西洋のシュルレアリスム作家が網羅されている点が大きな特徴とのこと。
「超現実(シュルレアル)」に希望を託しつつ、純粋な生を求めて様々な表現を試みたシュルレアリスム。その本質について改めて触れることは、今日、私たちが現実をより豊かなものにして、生き抜いていくための大切な手がかりを与えてくれるに違いありません。(公式サイトより抜粋)

~展示構成~
序章:ようこそシュルレアリスムの世界へ(シュルレアリスム(超現実主義)とは? シュルレアリスムの夜明け) 第1章:意識を超えて 第2章:心の闇 第3章:夢の遠近法 第4章:無垢なるイメージを求めて ポートレイト

チケットマックス・エルンスト《ポーランドの騎士》(愛知県美術館蔵)青色や白色がとても綺麗で幻想的な作品でした。サイズもなかなか。見応えがあります♪《風景》、《森》(ともに岡崎市美術博物館蔵)は過去に観たことのあるもの。エルンストは1920年代後半から30年代前半にかけて森をテーマとして頻繁に描いていたそうです。ちなみに《森》はとてもよく似たものをニューヨーク・グッゲンハイム美術館展(Bunkamura:2004)でも鑑賞しています。( ̄ー ̄)v
アンドレ・マッソン《ジェネシスⅠ(起源)》(諸橋近代美術館蔵)《庭師》(宮崎県立美術館蔵)はとても対照的な作品。まず、《ジェネシス~》は茶系をメインとしたもので、映画のワンシーンみたいで宇宙を連想する。なんかスピード感がありました。《庭師》は明るい色彩の優しい作品。最初、何が描かれているのかよくわかりませんでした。!Σ( ̄□ ̄;)チョット離れてみるとさらさらと描かれた感じの人の輪郭が浮かび上がってきて。。。O(≧∇≦)O イエイ!!

サルバドール・ダリ《ダンス(ロックンロールの七つの芸術)》(諸橋近代美術館蔵)は今回とても楽しみにしていた作品。以前、この作品を観たくて諸橋近代美術館に出かけようと真剣に考えた時期がありました。結局実現しませんでしたが。。。人物が『DALI』と形作っています。ダブル・イメージって奴ですね!おぉ~何だこの作品は!う、腕が~(^_^)/作品解説によると右腕だそうですが、手首、手のひらの向きを考えると左腕じゃないの~???と突っ込みたくなります。昨年のダリ回顧展でもそうでしたが、ダリの作品を複数鑑賞する時に、その都度細部まで詰めていくと激しく頭が混乱して。。。ハハハ♪ (*’▽’)(壊れた?)《反プロトン的聖母被昇天》(諸橋近代美術館蔵)も見応えのある作品。混沌というか複雑系というか(同じか・・・)鳩がいますね~、でも逃げ出していくような、見捨てていくような。。。おそらく鳩は平和の象徴として描かれたものだと思います。つまり、その鳩が逃げていくということは。。。_| ̄|○《ダリの太陽》(岡崎市美術博物館蔵)は最後の自画像だそうです。ほほ~という感じです(笑)

デルヴォー大好き♪ やはり大本命はポール・デルヴォー

ポール・デルヴォーは7点。《森》(埼玉県立近代美術館蔵)はお気に入りの作品です。(≧▽≦)bこの作品は他の作品に比べ若干照明が落としてあったように感じます。(暗い色彩だからそう感じただけかな?)数年前に常設展示室で足元の毛虫?たわし?のお化けのような作品戸谷成雄《「森」シリーズ-湿地帯》につまづきそうになるぐらいにバッチリ照明を落とした時の展示は、展示室そのものがデルヴォーの絵画世界のようで、絵画の中に自分が入り込んだような錯覚に陥ってめちゃめちゃ感動したんですがね。。。(ひんやりとした空気がチョット不気味で背筋がゾクゾクしたけど。。。(^_^;))今回の展示もなかなかよかったと思います。少なくとも、1月に常設展示室でバッチリ照明の中で印象派とともに観たマイナスのイメージは払拭されました♪《海は近い》(姫路市立美術館蔵)はチラシの裏に掲載されていてとても楽しみにしていた作品の一つ。ありそうでない不思議な世界。果てしなく続いていくような奥行きと綺麗な優しい青色・白色にうっとり。《乙女達の行進》(姫路市立美術館蔵)は行進というより操られてどこかに向かっているよう。斜め後ろからの描写。顔が描かれていないからかもしれないが、生気が感じられない。このひんやりとした感覚はデルヴォ-ならでは。《アレジア》(姫路市立美術館蔵)はエッチングかと思った。《水のニンフ(セイレン)》(姫路市美術館蔵)も見応えのある作品♪

さすがマグリット、見応え十分!!

ルネ・マグリットは7点。《現実の感覚》(宮崎県立美術館蔵)はチラシの表を飾っている作品。この作品も以前観た記憶があります。何度観ても、やっぱりラピュタみたいですね~(=^_^=) ヘヘヘ丁寧な作品解説は確かにその通り、でも。。。(/ー\*) イヤン♪《白紙委任状》(宮崎県立美術館蔵)はチケットのデザインに採用されているもの。面白いですね、絵解きをすると頭が激しく混乱しますが。

ミロの作品は可愛くて楽しい♪...((((ノ^^)ノ ウヒョヒョヒョ (o_ _)oドテッ

まず、前半の展示では、ジョアン・ミロ《恋人たち》(株式会社フジテレビジョン蔵)に心酔しました。このグレーを主体とした作品はホントかわいいですよ~♪キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー宇宙人のようなヒョロヒョロの不思議な人物。一筆書きのようにすらすらと描かれていますが、かなり計算されているようにも思えます。(でもシュールだから計算はしていないんだろうな。。。)作品の前にあるふかふかソファーに座ってのんびりと鑑賞。出来れば、紅茶でも飲みながら楽しみたい作品ですね。この作品は以前観た事があります。『何時、何処で、誰と、』観たのかは、全く覚えていませんが。。。
後半の展示では、ジョアン・ミロ《人物》(姫路市立美術館蔵)《夜の中の女たち》(財団法人セゾン現代美術館蔵)《女と鳥》(三重県立美術館蔵)《雑貨商》(おかざき世界子ども美術博物館蔵)《ポール・エリュアール『あらゆる試練に耐えて』の挿絵》(うらわ美術館蔵)《マキモノ》(町田市立国際版画美術館蔵)といった、まさにミロ尽くし。いずれも可愛い見応えのあるもの。《人物》《夜の中の女たち》は特にお勧めかな。《逃亡を夢見る少女》(岡崎市美術博物館蔵)というブロンズもありました。

クルト・セリグマン《バルコニーⅢ(集会)》(宮崎県立美術館蔵)は病んどるなぁ~という感じです(笑)でもこれって見入っちゃうんですよね!(はい、私もかなり病んでいるようです・・・)ドロテア・タニング《日曜の午後》(宮崎県立美術館蔵)はピアノを弾いている場面を描いたもの。神が降りて来るというか、魂が昇っていくというか。。。幻想的かつ神秘的で、見応えのある作品。今日一番の掘り出し物かも。v(≧∇≦)v イェェ~イ♪オスカル・ドミンゲス《地獄の機械》(宮崎県立美術館蔵)も見応えのある面白い作品。ロベルト・マッタ《吸引の芽》(宮崎県立美術館蔵)も見応えのある大きな作品。心地よく展示室を後にすることが出来ました。
それにしても、宮崎県立美術館、なかなかいいものを持っとるね~(^_^)/

ポール・デルヴォー、ルネ・マグリット、ジョアン・ミロ、のシュール3本仕立てという感じですね!(ダリもかな!?)「軸がシッカリとしていてほとんどぶれない」といった感じの堅実な展覧会。構成がしっかりとしていてとても観易いです。でも、やっぱりシュール、会場全体が病んどるな~といった感じです(笑)そんな中で、ミロの可愛い作品がアクセントとなって和やかで優しい雰囲気を醸し出しているようでした。ちなみに、会場も病んでいましたが、私も花粉症で激しく病んでいて「きっついな~」という感じでした。(おかげで図録の値段をチェックし忘れました。。。)
埼玉県立近代美術館の所蔵作品以外のものでも、観たことのある作品が多くてちょっと新鮮さに欠けましたが、国内にこれだけ質の高いシュールの作品が、しかもたくさんあったということに驚きました。O(≧∇≦)O イエイ!!宣伝が地味ですよね、都内の主要美術館で大々的な宣伝とともに開催していたら、今の3倍は人出が見込めるのではないでしょうか、もったいないですね~
おかげでじっくりたっぷり楽しめましたけどね♪(≧▽≦)b

埼玉県立近代美術館(http://www.momas.jp/

美術館連絡協議会(http://event.yomiuri.co.jp/jaam/shows/s_023.cfm

 

チラシです。(参考までに)

表裏 

【埼玉展】 埼玉県立近代美術館:2007年2月21日~3月25日
【愛知展】 岡崎市美術博物館:2007年4月7日~5月27日
【山梨展】 山梨県立美術館:2007年6月2日~7月8日
【宮崎展】 宮崎県立美術館:2007年7月21日~9月2日
【兵庫展】 姫路市立美術館:2007年9月15日~10月28日


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コメント 22

pistacci

行かれたのですね♪
とても丁寧な記事に感銘いたしました。もういちど、図録見ながら、思い出しました。
私にとっても、これほどゆっくりと丁寧に見られた展覧会は久しぶりでした。
by pistacci (2007-03-26 01:58) 

いっぷく

シュルレアリスムを最近は忘れるかのごとく離れていましたが
のめりこんでいた過去があります。
時代を超えて残っていく名画も多いし、自分の中でも再評価の時がときどき
波のように押し寄せます。
また関心を持ってみていきたいですね。

今まで紹介されなかった作品が多いとの事、もっと広まればいいと思います。「会場が病んでいる・・・」このコメント可笑しい。
by いっぷく (2007-03-26 05:36) 

luna

とても楽しめる展覧会だったのですね。
りゅうさんの「会場全体が病んどるな~といった感じ」ということばに
すこし笑ってしまいました(笑)
by luna (2007-03-26 14:47) 

naonao

この不思議さ堪りませんね。マグリットもダリも不思議すぎる。ミロも入ってるというのは驚きですね。デルヴォーってよく知りませんでした。勉強させていただきます。埼玉近代美術館ってまだ行った事ないので何かの機会に行ってみたいなあと思いました。
by naonao (2007-03-26 18:29) 

りゅう

>pistacciさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
のんびりとしていてなかなかいい展覧会でしたね。
気に入った作品の前で好きなだけ時間を費やすことが出来る、
これが美術館の一番の楽しみ方ですね!

>いっぷくさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
最初から最後まで丸ごとシュールですよ♪(^_^)
途中から現実と超現実の境目がわからなくなってきました。。。
シュールは結構、キケンです!!(笑)
by りゅう (2007-03-26 21:15) 

りゅう

>琉那さん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
まともなのは肖像写真だけ、あとは全部不思議な妖しい作品でした(^_^)
途中で感覚が麻痺してきて、後半に展示されていたマグリットの《現実の感覚》(チラシの表)、大きな岩が浮いていても何の違和感も感じませんでした。
『ん?あっ、あるある、ふつ~じゃん♪』って感じに。。。(^_^;)

>naonaoさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
最初から最後まで不思議な妖しい作品でした。
次第にその不思議な光景が違和感無くナチュラルに感じられるようになりました。。。2回りしていたらやばかったかもしれません!!
危ない、危ない。。。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
ポール・デルヴォーはいいですよ~、大好きです♪(≧▽≦)b
by りゅう (2007-03-26 21:30) 

ちらしの絵、不思議ですね~。夢に出てきそうです。(笑)

りゅうさんのレビューを読んでいたら、行きたくなってしまったけど、もう埼玉は終わってるのですね~。
会場全体を病ませてしまう作品たち、強烈ですね。
by (2007-03-26 21:54) 

りゅう

>ちゃびんさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
会場全体がチラシにあるような不思議な絵で埋め尽くされていました。
次第に感覚が麻痺してきました♪(^_^)
国内の美術館が所蔵している作品で構成された展覧会のため、観たことのある作品がいっぱいでした。今回逃しても、所蔵美術館や他の企画展等、どこかでお目にかかる可能性大だと思います。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
by りゅう (2007-03-26 22:25) 

TaekoLovesParis

これ、もう終っちゃったんですね。埼玉県美のサイトでいくら探しても
見つからないとおもったら。。。なんでも行動は早くって反省。オルセーも
行かないと終っちゃう。
by TaekoLovesParis (2007-03-27 09:52) 

りゅう

>TaekoLovesParisさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
ごめんなさい、ちょびっと遅くなってしまいました。。。(^_^;)
もし行かれるのでしたら、【山梨展】がお勧めだと思います。なんと言っても、『ミレーの美術館』ですからね!(^_^)/
オルセーは鑑賞されたほうがいいですよ!
展示構成や照明等、パリとの違いを比較しつつ楽しまれてはいかがでしょう!上野公園はお花見シーズンですね、ダ・ヴィンチ《受胎告知》もあります(≧▽≦)b
by りゅう (2007-03-27 20:47) 

ぽんこ

りゅうさんのレポートは一冊の本になりそうですね(^_^)
やったー!新国立美術館のモネ展が当たったの♪
りゅうさんの運気が乗り移ったかも~。
by ぽんこ (2007-03-28 14:02) 

りゅう

>ぽんこさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
モ、モネ~~~~!!キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
(* ̄ー ̄)ノ彡☆゜・。・゜★・。・。☆おめでとうございます♪
『オルセー、ダ・ヴィンチ、モネ』、見事なまでにかすりもしません・・・
今回は自腹の覚悟で・・・(えっ、それが普通?(/ \) イヤン)
ぽんこさんの時代がやってきましたね!!(・_・)/ハッ。
by りゅう (2007-03-28 23:30) 

COZY

こんばんわ。

デルヴォーがお好きとはしぶいですね!僕は照明の具合には若干不満を感じました。記事をTBさせていただきます。
by COZY (2007-04-01 02:41) 

りゅう

>COZYさん、はじめまして。TB&コメントありがとうございます(^o^)丿
デルヴォーいいですよ~大好きです♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ
照明は難しいですね。
会場全体の雰囲気や展示構成を重視するか、流れを無視して個々の作品を重視するか、それによってかなり違ってきますね。今回のように企画力が前面に出てきている場合には、いくつかの作品が犠牲になってしまうのかもしれません。
最近は会場や展示構成による違いそのものを楽しむようにしています(^_^)
by りゅう (2007-04-01 20:37) 

はろるど

こんばんは。コメントとTBをありがとうございました。
りゅうさんもデルヴォーがお好きでしたか!
今回のデルヴォーはどれも良かったのですが、
改めて拝見すると埼玉県美の作品は特に美しいなあと思います。
この作品は結構、常設でも出ていることが多いので、
普段から接することが出来るのは嬉しいですよね。

姫路や岡崎の美術館にもたくさんシュルレアリスムの作品があることを知りました。
一度現地で見たみたいです!
by はろるど (2007-04-05 00:43) 

りゅう

>はろるどさん、こんばんは。TB&コメントありがとうございます(^o^)丿
日程が合わず叶いませんでしたが、
福島のデルヴォー展(05年)、本気で計画を立てていました。
今回のデルヴォーの部屋はとても見応えありましたね!
鑑賞者サイドに立った見事な展示で、
学芸員の方も相当のデルヴォー好きだと察しました♪(^_^)
姫路や岡崎のコレクション、私も気になりました。現地で見たいですね!!
by りゅう (2007-04-05 19:21) 

りゅう

>Takさん、TBありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2007-04-16 20:43) 

りゅう

>有紀さん、nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2007-04-21 20:06) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコでも、昨年下記のシュルレアリスム展がありました。

http://www.sfmoma.org/exhibitions/exhib_detail.asp?id=226
by サンフランシスコ人 (2007-12-16 06:33) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
チェックしてきました。
ルネ・マグリット、面白い作品ですね♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ
by りゅう (2007-12-17 20:35) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコ近代美術館蔵のマグリット

http://collections.sfmoma.org/THA4034*1$6377*1799027
by サンフランシスコ人 (2008-01-18 07:49) 

りゅう

○サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
やはりマグリットの世界は理解できません。。。
というか、理解しようとしてはいけない世界なのかもしれませんね。
でも、あの不思議な感覚が好きです♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ
by りゅう (2008-01-18 21:49) 

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