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ウィーン美術アカデミー名品展 [06展覧会感想]

新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催されていた「ウィーン美術アカデミー名品展 -ルネサンスから近代まで-」を観に行きました。この展覧会はウィーン美術アカデミーの名品を総合的に紹介するもので、ルネサンス期から19世紀末までのヨーロッパ絵画の流れを展観するものだそうです。

~展示構成~
1.クラナハとアルプス以北と以南の初期板絵 2.ヴァン・ダイク、ルーベンスと17世紀フランドル、オランダ絵画 3.スペインとイタリアのバロック絵画 4.黄金時代のオランダ絵画/社会と風俗画(レンブラントなど) 5.黄金時代のオランダ絵画/オランダとイタリアの風景画 6.黄金時代のオランダ絵画/静物画 7.18世紀のイタリアとフランス/ヴェネツィアと南欧 8.18世紀のオーストリア絵画 9.19世紀の新古典主義からアカデミーとビーダ-マイヤーの絵画まで 10.リングシュトラーセから近代精神の覚醒まで

まずはルーカス・クラナハ(父)《ルクレティア》、単なる裸ではなかった・・・薄い布をまとっています。とても繊細で、優美。見応え十分♪(^o^)丿クラナハは工房の作品も含めて、4点。いずれも板絵です。直前に鑑賞したベルギー王立美術館展では、頑なに貸し出しを拒まれた板絵です、板絵。ペーテル・パウル・ルーベンス《三美神》はとても綺麗でした。花、肌、左下のイチゴ・・・いずれも素晴らしい。こちらも板絵です♪(^o^)丿

ピーテル・ブール《地球儀とオウムのいる静物》ピーテル・ブール《地球儀とオウムのいる静物》はリアルなオウムが凛々しくてとてもかっこいい。エルミタージュ、ベルギーと今日は素晴らしいオウムに縁があるようです(^o^)丿鳥を飼いたくなりました。飼うなら、オウムか、オカメインコ、ボタンインコがいいなぁ。(以前セキセイインコを飼っていました、しかも増えた!!)ヤン・フェイトは2点。《狩の獲物の静物》はリアルというより生々しい・・・孔雀、ウサギ、七面鳥、猫・・・特徴をよく捉えています。《猫の習作》は動きがあり、攻撃的。5月に観た藤田嗣治《猫》(東京国立近代美術館蔵)を真っ先に思い浮かべた。虎より猫の方が攻撃的だなぁ。。。ヤン・ダーフィッツ・デ・ヘーム《豪華な静物》は115cm×170cmという大きなもの。この大きさにもかかわらず、とても丁寧に描かれた(当たり前!?)綺麗な作品。タイトル通り豪華。オウムがかっこいいですね~、またまたオウム君です♪ザクロも見事で、見応えあり!!メルヒオール・ドンデクーテル《番の孔雀》《争う鶏のいる庭》はいずれも見応えのあるもの。《番~》は綺麗な孔雀が3羽の大きな作品。《争う~》は、争っている様は荒々しく、スピード感がある。しかし、それは庭で起きていることのごく一部にすぎないようだ。ヒナはとても可愛いし、ハトはおとなしく、平和と争いが混在している??? 

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《サイコロ遊びをする少年たち》小生意気なガキかわいい子供がサイコロ遊びをしているところ。左側の少年の手の感じはサイコロの振り方にかなり手馴れた感じがする。こいつら、ろくな大人になんねえゾ~~~ジロー (;¬_¬)プラド美術館展で観た《貝殻の子供たち》に描かれた子供たちはとても可愛らしかったが、宗教性を持ったものだった。この作品は宗教性を持ったものなのだろうか???

ロイスダール父子いいね~(^o^)丿

ヤーコプ・ファン・ロイスダール《川と小橋のある森の風景》ヤーコプ・ファン・ロイスダール《池のある風景》《川と小橋のある森の風景》はともに見応えのあるもの。エルミタージュでロイスダール(ライスダール)の大きなものを観てしまったためインパクトが弱いものの、こちらの作品もとても素晴らしいもの。特に《川と~》は、西美の常設を含め今日観たロイスダールの中では一番かも。ププッ ( ̄m ̄*)そして、ヤーコブ・ファンロイスダールの父、イサークの作品も展示されていました。イサーク・ファン・ロイスダール《板塀のある風景》はのどかでいいね~、こういう作品結構好きです(^o^)丿シモン・デ・フリーヘル《停泊する艦隊:ラメケンス城を背景にした内陸河川艦隊の隊列》は写実的で透明感のある素晴らしい作品。レイニエ・ノムース《停泊する商船》は迫力のあるかっこいいもの。アレッサンドロ・フレーフェンブルーク《月光の下の地中海の港》は船がかっこよすぎます(^o^)丿この逆光(月光)がナイス!! 

ユベール・ロベール《奇想の廃墟(古い神殿)》ユベール・ロベール《奇想の廃墟(古い神殿)》はチョット目が回りそうだったけど、見応えがありました。エルミタージュ、西美の常設とユベール・ロベールの素晴らしい作品を観てきましたが、この作品も勝るとも劣らない素晴らしいもの。ヨハン・ネポムク・シェードルベルガー《理想的風景:夕方》は輝いて見えました。綺麗でかっこいい。トマス・エンデル《リオデジャネイロの風景》も。こちらは、柔らかく優しさを感じる。いずれも大きな作品。エミール・ヤーコプ・シンドラー《森の娘の誕生》は左上から差し込む光の描写が凄い。神秘的だけど、温かい光。なんとも不思議。。。 マルティン・ファン・マイテンス《女帝マリア・テレジアの肖像》はあまり好きな作品ではないが、マリア・テレジアの迫力・貫禄に敬意を表して。これって、女帝を前にして(実際にポーズをとらせて)描いたのかな・・・表情は優しく、気品や威厳というものが感じられますが、ものすごい緊張感が伝わってきます。この作品はどうしてもマリア・テレジアに注目してしまいますが、注目すべきはドレスかもしれません。特にレースが細部まで丁寧に描かれており、また、色合いもとても素晴らしいもので、全体の構図もいいですね~。女帝に圧倒され、細部を見落としてしまいそうですが、これは必見ですヾ( ̄ー ̄)ゞ

大好物は最後までとっておいてから食べる性格かな???

ギュスターヴ・クールベ《オルナン近くの岩場の風景》も迫力のある素晴らしい作品でしたが、最後にすばらしい作品が待っていました~~~~~(^_^)/ローベルト・ルス《ペンツィンガー・アウ(ペンツィンクの湿地)の早春》はこの展覧会で一番のお気に入り作品。柔らかく、優しく、そして、綺麗で繊細。ほめ言葉になる形容詞を全部並べたくなるような素晴らしい作品です。キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー正直に言うと、クルーベ好きですし、この作品もとても素晴らしい見応えのあるものでしたが、ルスの前では霞んでしまいました~~~この美術館は、企画展示の後に常設展示があります。それも、ゴッホの有名な《ひまわり》が。このルスの作品の展示の仕方もある意味通じるものがあるのかな。ラストに素晴らしい作品があると、とても心地よく美術館を後にすることが出来ます♪(^o^)丿

地味ですね~特に宣伝が。ププッ ( ̄m ̄*)宣伝で煽りまくっているダリ回顧展、大エルミタージュ美術館展。イカロスで売込み中のベルギー王立美術館展。完全に広告戦略で負けてしまっています。しかも先日ニュースを見ていたら、な、なんと、オーストリアの日本国内での呼称をオーストリーに変更する始末。コアラ、カンガルーに押されて超消極的です・・・・・ウーム (; _ _ )/ヨーロッパの文化・歴史を語る上で欠かすことのできない、最も重要な位置付けのはずなのに・・・ハプスブルク家が泣いている・・・・・かな???
美術アカデミーのコレクションということでお堅いイメージがつきまとい、学術的で難しい展覧会を予想していましたが、とてもわかり易い素晴らしい展覧会でした。 どちらかというと正統派の見応えのある素晴らしい作品が目白押し。その中でクールベの作品が堂々としているのもチョット変ですよね、けっこうウケました(^o^)丿アカデミーということは、これらの作品を授業で模写したりしているわけですよね、凄い!!!!!
400年をキーワードに鑑賞した作品数は400点以上大エルミタージュ美術館展ベルギー王立美術館展→国立西洋美術館の常設展→』と巡ってきた最後を飾るに相応しい素晴らしい展覧会でした。「コレクションや展覧会のテーマを視点にタテの流れ(主観的)」「画家や同時代性を視点にヨコの流れ(客観的)」として、企画意図に従うのはもちろん、横断的鑑賞もとても面白いです。これだからハシゴが止められないんですよね~(^o^)丿タイミングよく開催してくれたことに大感謝です。

  • 図録:2000円
  • 音声ガイド:500円

損保ジャパン東郷青児美術館(http://www.sompo-japan.co.jp/museum/index.html

 

表裏

【山口展】 山口県立美術館:2006年4月7日~5月21日
【三重展】 三重県立美術館:2006年5月27日~7月9日
【新潟展】 新潟県立近代美術館:2006年7月15日~9月10日
【東京展】 損保ジャパン東郷青児美術館:2006年9月16日~11月12日


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りゅう

>plotさん、はじめまして。nice!ありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2006-11-21 21:55) 

くみみん

おはようございます。
レポート、お疲れさまでした!!
いつも、りゅうさんのレポートには感心してしまいます。やっぱり、メモを録ってみないとダメですよね。よっぽど気に入ったものでないと細部までは覚えていません(^-^;
と言いながら、次も感覚的に観て終わるんでしょうけれど。
ムリーリョの「サイコロ遊びをする少年たち」小生意気なガキが(≧▽≦)b
女帝の絵はきっと「あんたもっときれいに描きなさいよ」って言われたんじゃないですか?
「ペンツィンガー・アウの早春」観たいです!!
by くみみん (2006-11-23 07:51) 

りゅう

>kumiminさん、こんばんは。nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
感覚で観ていますよ♪ ププッ ( ̄m ̄*)
メモ書きは単語(形容詞)の羅列ですので、
同じような感想ばかりになってしまいます・・・(^_^;)
女帝を前にして描くのはもの凄いプレッシャーですよね!
緊張で手が震えたりとかしないのかな???
by りゅう (2006-11-23 21:05) 

いっぷく

りゅうさんの詳細なレポートには感心いたします。
今日はナショナルギャラリーに行ってきました(無料)
でも帰宅したら、りゅうさんと違い、絵は思い出せても画家の名前が出てこない。
ゴッホのひまわりの展示室が変わりました。ゴッホは5枚ほど同じ壁面に掛けられてます。
モネ、ピカソなどMone to Picassoという名目で同時代のコレクションがまとめて移動です。そしてその上の階にアルコールが楽しめる場所ができました。美術館で酒が飲めるなんて。
by いっぷく (2006-11-24 05:40) 

りゅう

>いっぷくさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
作品リストのない場合はメモ帳ですが、基本的には作品リストにいろいろ書き込んでいます。☆、○、△・・・といった記号と、「線、色、光、といったポイント」と、後は綺麗とか繊細とか一言感想です。(^_^)

ナショナルギャラリー素敵ですね~(^o^)丿
しかも、『Mone to Picasso』&『お酒』ですか~~~!!
キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
素晴らしい時間を過ごすことができそうですね!ウラヤマシイ。。。
by りゅう (2006-11-24 23:23) 

TaekoLovesParis

りゅうさん、遅くなりまして。。りゅうさんの所をクリックしてもなかなか
字が出てこなくて、連日、あとまわしでした。
私も行ったんですよ。だから思い出しながら、読んで楽しかったです。
「三美神」すばらしかったですね。ムリーリョの「さいころ、、」を見たとき、
私もプラド展の子供の絵が浮かびました。宗教性、時代からするとあるん
でしょうね。「無原罪の祈り」は題材からして宗教的でしたけどね。
ロイスダールとユベール・ロペールは、2人共、エルミタージュ展にも作品
があったので、覚えました。(それまで知らなかったので)こういうタイプの
古い絵は落ち着いていいな、と気に入ってます。
by TaekoLovesParis (2006-11-25 03:17) 

アイレ

りゅうさん、こんにちは
返事が遅くなってすみませんでした。
本当、もうちょっと宣伝してもいいのでは?と思った展覧会でしたが、
人が押し寄せたら、損保ジャパンのビルのどこに並んでもらうのかな?
(ドキドキ、こわこわ)
それはさておき、「早春」は確かに風景画好きな方にはたまりませんね~
あれだけ細部にまで手を入れているのに、不自然なところがありませんし、
夕暮れの寂しい雰囲気も出ていましたし。。。
りゅうさんが(≧▽≦)となったのが目に浮かぶようです。
by アイレ (2006-11-25 17:59) 

TaekoLovesParis

りゅうさんへ パート2
この展覧会で一番よかったのは最後の部屋でした。大きい風景画。知らない画家たちだったので、記憶にとどめたいと思って、初めてカタログを買いました。今、見てみたら、りゅうさんが絶賛のルスの「早春」でした!
シンドラーのそこにだけ光が当たっている「森の娘の誕生」も気になったし、
「リオデジャネイロ」の明るさにはっとしました。
<月光に照らされたナポリ湾の眺め」では、ドイツ・ロマン主義の風景画家
カスパー・フリードリヒを思い出しました。フリードリッヒの風景画の人物は皆
後ろ向きで淋しげで、景色も荒涼としているから。
以上、りゅうさんはカタログ持っていらっしゃるから、おわかりになると思い、
ざっと書いてしまいましたが。。
りゅうさんの「大好物は最後までとっておく」、、納得です。
by TaekoLovesParis (2006-11-25 21:34) 

りゅう

>TaekoLovesParisさん、nice!&コメント(×2)ありがとうございます(^o^)丿
曽根風呂重いですよね、ご迷惑をおかけしています。今度のメンテにちょっとだけ期待しましょう。(ウソです、期待はしてません!!(* ̄m ̄) ププッ)
ロイスダール、ユベール・ロベール、ジョゼフ・ヴェルネあたりは国立西洋美術館の常設展示にもありますので、とても親しみがありました。西美の常設展示の凄さを改めて実感(痛感?)しました!!
カスパー・フリードリヒは昨年のドレスデン国立美術館展の時に素晴らしい作品が揃っていたと記憶しています♪(^o^)丿

実は、今回は、図録を購入しませんでした。。。。。o(ToT)o ダー
時間とともに重さが激増する!?朝イチのエルミタージュの図録。。。
ココのミュージアム・ショップは過去の企画展図録も在庫のある限り販売していたと記憶しています。次に訪れたときでもいいかな~なんて。売り切れても、埼玉県立近代美術館の美術図書室(入場無料)に行けばいつでも見れるような気もしますし。(=^_^=) ヘヘヘ
この記事は作品リストに書き込んだメモと曖昧な記憶によるものです。(^_^;)ルスについて掘り下げて記事にしようと思いネットで調べてみましたが、全く情報が見つかりませんでした・・・やっぱり図録は重要な情報源ですね!!ヾ( ̄ー ̄)ゞ
by りゅう (2006-11-26 01:11) 

りゅう

>アイレさん、こんばんは。TB&コメントありがとうございます(^o^)丿
確かに、混雑は辛いですね~(ー’`ー;) ウーン
内容はエルミタージュなんかよりずぅ~っと・・・ イヤイヤ  へ(* ̄ー ̄)>
クラナハの板絵から、ルーベンス、レンブラント、ロイスダール・・・ルス
知名度に関係なく、最初から最後までパワー全開という感じの凄い展覧会でしたね。これだけの作品を落ち着いた環境のなかで静かに鑑賞できたのは、
ある意味、ラッキーだったのかもしれませんね!!ピース!(v^-^v) ピース!
by りゅう (2006-11-26 01:22) 

ぽんこ

確かに宣伝地味ですね。(知らなかったの(;_;))
美術情報はりゅうさんのところでゲット!
やっぱり日本の美術館は午前中開門と同時に行くのがベストだね。
先日「ルソーと…」に行ったら案の定行列でのろのろ。
人の頭を見に行ったみたいになっちゃった。
独り占めして見たかったな(欲張りかな?)
by ぽんこ (2006-11-26 14:59) 

りゅう

>ぽんこさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
あちゃ~逃してしまいましたか。。。雰囲気だけでも伝わりましたかね。。。
世田谷の「ルソーと…」いかがでしたか。
とても素晴らしい展覧会で大混雑しているとの評判を伺っています。
ルソーは日本でとても人気があるようです。(今回知りました(〇o〇;) !!)
やはり混雑展は開門と同時がベストですね。
by りゅう (2006-11-27 00:16) 

Tak

こんばんは~

かなーり宣伝不足ですよね。
もったいないもったいない。
クラナハ間近に観られて幸せでした。

だんだん年とともに古典絵画好きに
なってきた自分が怖いです。
by Tak (2006-12-07 17:10) 

りゅう

>Takさん、こんばんは。TB&コメントありがとうございます(^o^)丿
クラナハ独り占めしてきました~ ピース!(v^-^v) ピース!
宣伝不足のおかげ!?でしょうか、
夜間開館時、至福の時を過ごすことができました!!
本当にもったいないですよね。(*^m^*) ムフッ
この展覧会の影響を受け、ベルギー展(2回目)鑑賞後、
常設展示のクラナハにもかぶりついてきました。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
by りゅう (2006-12-07 22:27) 

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