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クリーブランド美術館展 [06展覧会感想]

六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーで開催中の『クリーブランド美術館展-女性美の肖像-』を観に行きました。この展覧会はクリーブランド美術館の増改築工事に伴い実現した国際巡回展として、同館が所蔵する近代美術コレクションのなかから選りすぐられた、日本初公開の50点を含む、絵画および彫刻の60点を紹介するものだそうです。

~展示構成~
1.印象派の時代 2.後期印象派 3.近代彫刻のさきがけ 4.20世紀の前衛 5.北ヨーロッパの光

まずは、ギュスターヴ・クールベの《ロール・ボロー》から。魅力的な?不思議な?妖しさ。女性の表情や夕焼けがポイントかな。見入ってしまう素晴らしい作品。
クロード・モネ《アンティーブの庭師の家》クロード・モネ《春の花》《赤いスカーフ、モネ夫人の肖像》《アンティーブの庭師の家》の3点は、静物、人物、風景、それも全くタイプの異なる色彩&描き方という珍しい組み合わせでした。まず、《春の花》は116.8×90.5という大きな作品。とても大胆でパワフルな感じがします。最初、庭の花を描いたのかと思いましたが、手前の花は切花を無造作に?並べたみたい。左にあるのはカゴのようです。種類はよくわかりませんが、手前にあるのはバラのようで、中心にあるのはアジサイ!?春・・・( ̄-  ̄ ) ンー《赤い~》は雪の降る中、カミーユがドア越しに室内を振り返るよう。このままどこかへ行ってしまうのではないかというような感じさえして、とても寂しい・・・赤いスカーフがより一層切なく、印象的。図録の解説によると「カミーユ・モネが雪に身をさらしていることは、彼女の運命をも示唆している。・・・彼女はこの作品が完成して間もなく亡くなった。モネはこの作品を生涯手元に置いていた」とのこと。《アンティーブ~》は透明感のある光り輝くような明るい色彩が特徴の優しい作品。鮮やかなオレンジがとても魅力的。左右の木が柔らかく優しく画面を覆い、穏やかなのどかな雰囲気が伝わってくる。モネ好きの方、この作品は必見です!!

チラシの表を飾る、ピエール=オーギュスト・ルノワール《ロメーヌ・ラコー》は23歳の時の作品だそうです!Σ( ̄口 ̄;;「絵画的な実験に熱心だったルノワールは、明るい色彩で描くために暗い色調のパレットを捨て、この作品を署名と日付の入った最初の肖像画として残すために、それ以前の作品を破壊することさえした。・・・髪の毛はルーベンスを模倣し、はっきりとした輪郭の顔やレースの身ごろはアングルから受け継ぎ、白い厚塗りはクールベを示唆し、柔らかな花模様の背景はコローへの敬意を表す、といった具合である。しかしながら、奇跡的にも、これらの雑多な影響の中から、ルノワールは明らかに彼自身の一枚の絵画を作り出している。そこには、彼の名作の特徴である特別な温かみと愛情とが見られるとのこと。これ、はっきり言って、ルノワールを知るうえでとても貴重な作品だと思います(^_^)/会場がもう少し明るければ白色が活きて良かったのに・・・《リンゴ売り》は、絶対に離れて観た方が良いです!!最初、ぼやぼやで何だコリャーって感じでしたが、距離を置くと顔の輪郭がしっかりとし、明るい日差しの中に浮き出てきて立体的。服の白、赤、青も光り輝いているようでとても綺麗になり、立体感もでて、さーっと道が開けて伸びていくように奥行きもでます。でも、近づくとバックの深い緑色に吸い込まれ、ノペ~っとペッタンコになってしまいます。。。近づいたり、離れたり、いろいろ試してみると本当に面白いですよ~こんなにも雰囲気や印象が変わるものなのかな~なんて。フフフ ( ̄+ー ̄)キラーン

カミーユ・ピサロ《ポントワーズの閘門》ヨハン・バルトルト・ヨンキント《バ=ムードンのセーヌ河畔》は落ち着きのある穏やかな作品。とても安定感がある。ヨンキントの作品は久しぶりですヾ( ̄ー ̄)ゞカミーユ・ピサロ《ポントワーズの閘門》は落ち着いた色彩でのんびりしているが、何処となく冷たい感じ。会場ではふ~ん、という感じで軽く流してしまいました。好みは分かれると思いますが、個人的には、図録の画像のほうが明るい色彩で好きです。特に雲の感じは会場が暗くてあまりわかりませんでした・・・(コレが理由で図録を購入しました(^_^))

エドゥアール・マネ《ベルト・モリゾ》の第一声は、ずばり、かっこいー!!しかも美人です。さらに、まふまふやコートの質感は凄いです♪ヾ( ̄ー ̄)ゞ口元もチャーミングでかわいい!!照明の効果ですかね~、立体感のある立派な肖像画にみえました。用いられた色は決して多くはありませんが、とても華やかでゴージャスに感じます。ん!?色が少ないからこそ重厚感があるのかな?ちなみに、図録でみると立体感もなく、コートも大雑把に描いたようで面白くもなんともありません。ベルト・モリゾ《読書》は一見地味ですが、繊細に描かれたドレスの柄や扇子、傘など、見落としがちな細かいところに面白さがありました。ジェイムズ・ティソ《7月、肖像画の見本》はなんといってもドレスが凄いです!!ソファーも綺麗ですし構図も素晴らしいのですが、このドレスの白色は必見!!

ポール・セザンヌ《小川》ポール・セザンヌ《小川》は色彩も構図も計算され尽くしているようで、本当に素晴らしい。最初、道だと思いました、作品名を見て、あっ、水面に映ってるんだ・・・(/ー\*) イヤン♪なんかモネみたいだ。。。奥深いですね~見応えあります(^o^)丿フィンセント・ファン・ゴッホ《サン=レミのポプラ》はチョットだけうねってます。ゴッホの厚塗りは精神的な息苦しさや痛々しさを感じます。色の組み合わせは良いんですけどね・・・《大きなプラタナスの木》はとてもパワフルだけど、暖かさや温もりを感じる不思議な作品。「ゴッホはひとつの主題で2枚の絵を描くことが多い。1枚は屋外で描き、2枚目はアトリエで描くのである。この作品の2枚目は、フィリップス・コレクションが所蔵する」とのこと。その2枚目ですが、昨年この場所で開催されたフィリップス・コレクション展《道路工夫》というタイトルで展示されておりました~(^_^)/

ジョヴァンニ・セガンティーニ《松の木》は日本画のようだった。とても緻密で繊細だが、神経質な感じ。綺麗ですけどね!!オーギュスト・ロダン《堕ちた天使》は、大理石の滑らかな質感が見事に活かされた作品、白ロダンいいね~(^o^)丿マックス・エルンスト《草上の昼食》は、有名なエドゥアール・マネ《草上の昼食》のパロディーだそうだ・・・わけわかんね~(ー’`ー;) ウーン

パブロ・ピカソ《扇子、塩入れ、メロン》は暗い色彩のゴツゴツとしたキュビスムの作品。切り分けて盛り付けられたメロンがとても攻撃的で、メラメラと燃え上がるようにも見える。全体をひとまとまりとしてみたとき、人の上半身のように見える。それも、ロボットか鎧を着た人のようで、爆弾のようなメロンを抱えている。闇の世界から出てきて、一歩一歩、迫ってくる感じ。今にもメロン爆弾を投げつけられそうだ・・・(^_^;)アンリ・マティス《ニース、花のフェスティバル》は明るい色彩とすっきり爽やかな空が気持ちいい。やっぱり、こーゆー軽いほうがが疲れなくて良いね~(¬ー¬) フフフ

60点のうち彫刻が10点ということで、少なすぎます!!それなりに凄い作品が来ているのでしょうが、物足りなさを感じます。『女性美の肖像』ということですが、イマイチ、テーマとの関連性が薄いような感じがします(例えばロダンのブロンズとかモンドリアンとか・・・)確かに、女性の肖像画だけ並べても面白くないのですが、統一感のないバラバラの作品の羅列とも受け取れなくもないような・・・(^_^;)招待券で鑑賞しておいて言える立場ではないのですが、これで一般1300円は六本木価格ということでしょう・・・・・☆○(゜ο゜)o オリャ!図録も厚みがあってそれなりに解説があるので、無理やり自分を納得させていますが、正直、高いです・・・W(=0=)W ガオォー!!

  • 図録:2500円
  • 音声ガイド:500円

森アーツセンターギャラリー(http://roppongihills.com/jp/events/macg_clevelandart.html
http://www.roppongihills.com/jp/feature/vol053/index.html

読売新聞(http://info.yomiuri.co.jp/event/01001/200607261046-1.htm

 

表裏

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TaekoLovesParis

改築時の国際巡回展はいいものが見れるからうれしいですよね。
だから私もコレ、行こうと思っています。
あ~でも、物足りないのね、、期待しないで行こうっと。
ベルト・モリゾは気品があって美しいですね。昨冬行ったオルセーでは、
マネの「スミレの花束を持つモリゾ」に目を奪われました。
このルノアールの少女もきりっとした美少女。「村の踊り」や「ピアノを弾く、、」
などとは違うかちっとした絵ですね。
読んでいたら、早く行きたくなってきた。六本木価格でもガマンしよう(笑)
by TaekoLovesParis (2006-09-25 22:38) 

くみみん

おはようございます。
見に行くときはこのページをプリントアウトしていっていいですか?
私、このチラシを見て「女性美の肖像」と言っているのにロダンは「考える人」?と思ったのですが…。印象派だからって…???
でも、「赤いスカーフの女」観たいな〜。
by くみみん (2006-09-26 09:11) 

りゅう

>TaekoLovesParisさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
今回のモリゾはさらっと流してしまいそうな地味な作品です。マネ《すみれ~》はもうすぐ日本に来ますね!来年の都美が今から楽しみです!!
水曜日はレディースデーだそうです、いいですね~ウラヤマシイ・・・
って私は招待券ですが♪(*^m^*) ムフッ
今回のセザンヌは凄いですよ~!!必見です♪

>kumiminさん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
持って行っちゃうんですか~(*/∇\*) キャ
それは止めたほうがいいですよ。
先入観無しに自分の感覚で鑑賞し、それから比較をした方が3倍楽しめます。
お勧めは、音声ガイドです。(※今回は借りていませんが)
ガイド片手に作品と対峙して、気に入った作品の一言感想を作品リストやメモ帳に書き込みます。時間的に2回りできるようなら、今度はそのチェックした作品のみを観てまわります。(私の場合、作品名にハナ○や☆、△、×をしてから一言感想を書き込んでいます。)他者の感想との比較はそれからです♪
そうしないと先入観が邪魔をして、感想も他人の受け売りになってしまいます。
自分の感覚を大事にしましょう♪(^_^)/
by りゅう (2006-09-26 22:02) 

りゅう

>よしぴ~ちゃんタイムゾーンさん、はじめまして。
TBありがとうございます(^o^)丿

>Takさん、TBありがとうございます(^o^)丿

>ひねもすのたりの日々さん、はじめまして。
TBありがとうございます(^o^)丿
by りゅう (2006-09-29 00:01) 

アイレ

りゅうさん、こんばんは
ゴッホの「大きなプラタナスの木」はフィリップスコレクションの第1バージョンなんですね~
いいことを伺いました。クリーム色に刺すように描かれた黒が見るものを不安にさせますが、気になる絵です。
他にもいい絵がありましたが、図録とか絵葉書に“ヒルズ・クオリティ”を感じてしまいました(-_-)ゝ
by アイレ (2006-10-23 20:58) 

りゅう

>アイレさん、こんばんは。TB&コメントありがとうございます(^o^)丿
“ヒルズ・クオリティ”ウケました~!!(T▽T)ノ_彡☆ばんばん!
ゴッホはチョット病んでるな~という感じで、フィリップス・コレクション展の時は軽く流していたのですが、今回は興味深く鑑賞しました・・・ププッ ( ̄m ̄*)
(前回はコレが霞んでしまう位、他の作品の質が高かった!つまり…以下省略)
ある意味、前半の展示室が勝負というところでしょうかね。
図録買っちゃいましたよ。フィリップス・コレクション展はアノ内容で2300円とお買い得でしたので、2冊合計で無理矢理適正価格・・・(^_^;)
by りゅう (2006-10-24 00:56) 

流星☆彡

遅ればせながら、観てきました♪〔学生料金+レディースデー〕で、
「東京シティビュー」込み ¥1,400.でした。(^^ゞ
ゆったりしてたので、音声ガイドを借りて 観ましたよん♪
あっ!このページも、PrintOutして持参させて頂きました~!(*^^)v
素人が ふらっと立ち寄るには、“テーマ性(?_?)”なのも 良かったかも…でした
よ。^^; 油絵は、離れたり近づいたりして鑑賞したいから、会場が混み混みで
ない!…ことも 重要factorだったと 思いました~。(*^_^*)
by 流星☆彡 (2006-11-09 16:39) 

流星☆彡

追伸
当方記事で、このページを紹介させていただきました。(^_^)/
長い開催期間の後、もう終了時期が迫っている展示ですが、よろしく ご了解
頂きたく お願いいたします。m(__)m
by 流星☆彡 (2006-11-09 17:15) 

りゅう

>流星☆彡さん、nice!&コメントありがとうございます(^o^)丿
空いている展覧会では作品に近寄ってみたり離れてみたりと、
自分のペースで自由に鑑賞できますよね♪( ̄ー ̄)v

ココは毎年のように展覧会を観に来ているにもかかわらず、
「東京シティビュー」はまだ一度も・・・ウーム (; _ _ )/
Σ(ノ°▽°)ノハウッ!
そういえば、サンシャインも以前は日常的にご飯を食べに行ったり、買い物したりしていましたが、展望台は一度も・・・・・イヤイヤ  へ(* ̄ー ̄)>
by りゅう (2006-11-10 00:07) 

サンフランシスコ人

クリーブランド美術館には、約100回行きました。凄い美術館です!
by サンフランシスコ人 (2007-11-07 04:16) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
約100回ですかーーー!ヽ(・_・;)ノ ドッヒャー
この展覧会には凄い作品はあまり来ていませんでした・・・(T_T)シクシク
by りゅう (2007-11-07 21:07) 

サンフランシスコ人

スペインの画家達(ゴヤ、エルグレコ、ベラスケス他)の名作を所蔵する美術館です!
by サンフランシスコ人 (2007-11-08 02:25) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
図録に40,000点以上の作品を所蔵する米国屈指の美術館と記載されていました。なんか凄そうですね!!
スペインの画家たちの名作・・・私も観たいです♪(^o^)丿
by りゅう (2007-11-08 20:33) 

サンフランシスコ人

クリーブランド美術館のスルバランは、1000回でも観たいですね!
by サンフランシスコ人 (2007-12-08 08:54) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
なるほど・・・
機会があったら画集でチェックしてみます。(・_・)
by りゅう (2007-12-08 23:58) 

サンフランシスコ人

「彫刻が10点ということで、少なすぎます」

凄い彫刻作品を所蔵する美術館です!
by サンフランシスコ人 (2007-12-11 08:52) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
絵画好きにとっては、60点のうち10点もが彫刻ということで大変厳しいものでした。肝心の絵画もイマイチでした。。。
by りゅう (2007-12-11 21:14) 

サンフランシスコ人

「肝心の絵画もイマイチでした」

クリーブランド美術館のドイツ絵画と彫刻は凄いです!
by サンフランシスコ人 (2007-12-12 02:48) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
この展覧会は女性美の肖像というサブタイトルによって制約化された印象派展でした。
いくつかは素晴らしい作品がありましたが、総じてただ持ってきただけに近いような展示構成でした・・・
by りゅう (2007-12-12 21:31) 

サンフランシスコ人

「いくつかは素晴らしい作品がありましたが」

ピカソの青の時代の名作は、行かなかったでしょうか。
by サンフランシスコ人 (2007-12-14 10:21) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
チラシに掲載されている作品のことでしょうか。
by りゅう (2007-12-14 22:55) 

サンフランシスコ人

http://www.clevelandart.org/museum/collect/highlights/high26.html
by サンフランシスコ人 (2007-12-15 03:19) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
チェックしてきました。
こんな凄い作品を持っていたのですか・・・(@_@)
by りゅう (2007-12-15 22:20) 

サンフランシスコ人

深い青色の素晴らしい作品です。 1000回でも観たいですね!
by サンフランシスコ人 (2007-12-19 11:21) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
日本で公開されることを願います。(^_^)
by りゅう (2007-12-19 23:39) 

サンフランシスコ人

クリーブランド美術館の15億円のハルス作品は、まず日本に行かないでしょう。
by サンフランシスコ人 (2007-12-28 10:56) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
日本では大手新聞社主催の印象派展以外では、レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールといった冠のついた展覧会でない限り高い集客は望めず、ビジネスとしては厳しいようです・・・
by りゅう (2007-12-28 22:48) 

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