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ベルリンの至宝展 [05展覧会感想]

4月30日、東京国立博物館で開催されている、ベルリンの至宝展に行ってきました。

「世界遺産・博物館島 ベルリンの至宝展-よみがえる美の聖域」という、ベルリン国立博物館群のコレクションから「聖なるもの」をテーマに、先史時代から19世紀までの人類の歴史を代表する文化財を厳選して紹介する展覧会だそうです。

~展示構成(作品リストより)~
Ⅰ先史美術 Ⅱエジプト美術 Ⅲ古代西アジア美術 Ⅳギリシャ・ローマ美術 Ⅴイスラム美術 Ⅵコイン・コレクション Ⅶビザンチン美術 Ⅷ中世ヨーロッパ美術 Ⅸヨーロッパ古典絵画 Ⅹヨーロッパ近代美術

 

エジプト美術・古代西アジア美術が特に充実していました

彫刻作品は後ろも要チェック!!しかし、エジプトの神々はよくわからないので、なんとな~く、観て終わった・・・古代エジプト文字やくさび型文字も。そのなかで、すごいなぁ~って感じたのは、ミイラ・マスクや木棺。なんと表現してよいのか・・・。前半の展示でイチバン感動したのは《ライオンの装飾煉瓦壁》(イラク・バビロン出土)という前575年頃のもの。本当に歩いているような、今にも動き出しそうな・・・ものすごい迫力と躍動感で圧倒されました。

ギリシャ・ローマ美術では、《ポセイドン》が異彩を放っておりました。等身大の3/4の大きさというこの作品はなかなかの存在感。これがもし、等身大もしくはそれ以上の大きさだったら・・・。このあたりの大理石彫刻はその滑らかな質感と断面のザラザラ感とが相まって、かなり、妖し~光を放っておりました。衣服のシワの一つ一つまで綿密に計算されたもののようで、すべすべとした肌の質感とともに観る者を誘惑しているような、なんともいえない素晴らしい光(ライトの反射のみならず、内面からにじみ出てくるもの)を放ち、これこそが大理石彫刻の素晴らしさかなぁなんて。

すいません、いっぱいいっぱいです中学時代から世界史アレルギー!?の私にとって、このジャンルはこれが限界です。○○文明、△△帝国、□□三世・四世といったものはまったく区別がつかないし、ましてそこに神々や神話が出てくると・・・(激しく混乱中

ヨーロッパ古典絵画、ヨーロッパ近代美術。最後に、私の大好きな絵画、それも風景画が充実していました(絶対数として絵画作品が少ないが・・・)。まず、ボッティチェリの《ヴィーナス》。一言でいうと、。背景が暗闇だとこんなにも雰囲気が変わるものなのかなぁなんて。しかし、よく観るとヴィーナスの表情が暗い・・・落ち込んでいるような、思いつめたような、何か深い悲しみを背負っているよう。また、髪の毛の一本一本がものすごく繊細に描かれていて、これを描きたいがために、背景を暗闇にしたのかと思うほど。そして、彫刻のような滑らかな肌の質感は、ボッティチェリならでは。素晴らしい作品の一つだと思います。これだけでも、来てよかった~という感じ。

展示の目玉にもなっているラファエロの《聖母子》はちょっとかすんだ感じで存在感もイマイチ。しかし、そのかすんだ感じが逆に聖母マリアの優しさを引き出しているような気がします。また、背景の木々が写実的にはっきりと描かれているのに、メインの聖母子がかすんだ感じなのはチョット面白いかも。これも、内面から放たれる聖なる光の表現かな。まぁ、よくわからない時は、「聖なるもの」ということにしておけばいいのではないでしょうか。

レンブラントの《天使と格闘するヤコブ》は、イマイチぱっとしなかった。図録を開くと「・・・遠く離れたところから鑑賞されることを想定して、下から仰ぎ見るように構成されて・・・」そんな説明無かったような・・・(今回は、音声ガイド借りてないし・・・(>_<))。いずれにしても、あまり好きにはなれない絵だった。

今回イチバン印象に残ったのは、カール・フリードリヒ・シンケルの《岩場に建つゴシックの大聖堂》という作品。岩場に立つ大聖堂を逆光で描いたもの。大聖堂の向こうにあるであろう夕日の光を雲に反射させることにより、大聖堂がひかり輝いているようにも見え、また、手前にある藪や木々を海風が荒々しく吹き付ける様子もとても力強く描かれている、とても綺麗な作品です。

マネの《温室にて》は期待していたほどの感動はなかった。確かに素晴らしい作品ではあるが、展示場所が・・・。また、「聖なるもの」という全体のテーマとの関連付けがイマイチ曖昧なままで、有名どころだし、旧国立美術館における歴史的位置付けとの関係から持ってきた、みたいな・・・。マネの作品で緑を多用したものはとても好きですが、この作品はそのなかでも特に穏やかで優しい感じがする、あたたかい絵だなぁという印象。これから先、二度と観られないかもと思うと、この作品の前からなかなか離れられなかった・・・(邪魔ですね、ごめんなさいm(__)m)

今回の展覧会は、HPで作品リストを見たとき、自分が期待していたものとチョット違っていたので(絵画作品が少ない・・・)「プレゼントに応募したチケットが当たったら、行こう!」って感じで(かなり消極的)、どうしようか迷っていました。そしたら本当に当たってしまった・・・

絵画作品は、少ないけど内容の充実した素晴らしい展示です(博物館の展覧会だから当然の構成ですね、(ーー;))。また、この展示会場は階段移動もなく、構造的に何度も回れるので、時間に余裕のある方は、気になる作品をチェックしながら一回りし、その後、チェックした作品を中心にもう一度回るというのもよろしいのではないでしょうか。最初からそのつもりで回れば多少の混雑は気にならないでしょう。また、全体的にキャプションの内容は薄いので、音声ガイドは借りた方がいいかもしれません。私は上記のように、○○文明とか聞いただけで激しく混乱してしまうため、あえて借りませんでした。今は、やっぱり、借りるべきだったと後悔も・・・(世界史が全くわからない自分の馬鹿さ加減に激しく後悔!!!)

彫刻や古代エジプト美術に興味のある方にはおすすめの、質の高い素晴らしい展覧会だと思います。しかし、これがドイツにあるということには、すごく違和感がありました。歴史的文化財の保護・保存という観点では良いことだとはわかっていても、結局は、支配・略奪の歴史を象徴するようなものだし。遺跡や発掘物は、やはり、あるべき場所であるべき姿で観ることに価値があるように感じます・・・(現実的には厳しいですけど)

 HPをはしごしていると、主要な展示作品が解説付で紹介されているので、これからご覧になる方、行こうかどうしようか迷われている方には、とても参考になるのではないでしょうか。

  • 図録:2300円(税込)
  • 音声ガイド:500円(税込)

 東京国立博物館(http://www.tnm.go.jp/)※作品リストあり

 

HPに割引券があります。

asahi.com(http://www.asahi.com/berlin/)※図録の通販あり

TBS(http://www.tbs.co.jp/event/berlin/

 

表裏

【東京展】 東京国立博物館:2005年4月5日~6月12日
【神戸展】 神戸市立博物館:2005年7月9日~10月10日


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mari

こんばんわ~。
はじめまして。TBと、コメントをありがとうございました。
「同感、同感」と思いながら、ブログを読ませていただきました(笑)。
これからも宜しくお願いいたします。
by mari (2005-06-01 02:36) 

りゅう

>mariさん
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
ベルリンの至宝展ニ回目では、音声ガイドを借ります!!
これでエジプト美術に深く入っていけたら、ルーヴル・エジプト展(都美)も視野に入れようと思います。
ルーヴル展を一年に二つも観られるって、冷静に考えてみると、とてもすごいことなんですよね!(チョット鼻息が荒いかも・・・)
マネ《温室にて》も、もう一度観ておきたいし・・・
図録を見ていると、どんどん欲が出てきてしまいます。
ぽりぽり (f*^_^)
by りゅう (2005-06-01 23:41) 

どこにコメントしようか迷ったけど、ここに書きますね。
混んでいたのは、私が見た時間帯が悪かったと思います。恐竜博を見てから来た人たち&ゆっくりお昼を食べ終えた人たちがベルリンの至宝展に集まった!と言う感じでした。恐竜のお土産を持ってる人や眠そうにしてる子供が意外に多かったので。午前中ならそんなに混んでないと思いますよ(^^)
でも、もう一度行けるなんていいなぁ。
私も子供がいなかったら・・・いやいや、もう少し大きかったらいろいろと
連れまわすんだけどなぁ♪(*^^*)
by (2005-06-08 16:06) 

りゅう

>ひとみさん
TB&コメントありがとうございます。
こちらの記事にまで、わざわざアドバイスのコメントを頂いて恐縮です。
『恐竜博』ですか。ん~、これは手ごわいですね(笑)
(『恐竜博』も楽しそうですよね!)
やっぱり午前中かぁ・・・。
気合を入れて、浦和・渋谷・新宿・上野の順でまわろうと思ってたんですよ。これは計画を練り直したほうがよさそうだなぁ。

タイムリーな情報どうもです、参考にさせていただきます。
☆⌒(*^∇゜)v ありがとう!
by りゅう (2005-06-09 00:07) 

rossa

こんばんは~☆
rossaは人物画については、、その絵画がもぎ取った1シーンが、物語をいめーじさせるような。。。あ~~。そんな感じが好き☆です。ヴィーナスも、そう☆なんだか、憂いを含んだ瞳がイマジネーションをかきたてますね☆マネも大好きです。<温室>の描写が素晴らしいと感じます。それにしても<博物館島>知りませんでした。こんなに、お宝が島に集まって。。。世界遺産。って(笑)。。。恥☆すごいですね。行ってみたいですね☆
by rossa (2005-10-03 23:31) 

りゅう

>rossaさん、こんばんわ~♪
ボッティチェリの《ヴィーナス》、そんなにジロジロ見るなよ(怒)って言われるくらいに、髪の毛の一本一本までジックリと観ちゃいました~
ヾ(>y<;)ノ うわぁぁ!!
マネ《温室にて》、図録での見開きの大きな絵が良いのか悪いのか。
見開きだと真ん中が・・・{{{| |}}} プチリ
ちょっと悔しくて、2回目を観に行った時に絵葉書を買いました。
博物館島、この展覧会が開催されるまで知りませんでしたよ~ニャハハ (*^▽^*)
なんか、凄そうですよね~オイラも行きたいです♪
TB&コメントありがとうございました!!
by りゅう (2005-10-04 00:18) 

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