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ゴッホ展 [05展覧会感想]

25日(金)に、ゴッホ展(東京国立近代美術館←初めて!!)に行ってきました。やっぱり、混んでました!(しかも、送迎バスの到着時間とかぶってしまった・・・)

今回のテーマは「ゴッホの作品を、いま一度、彼が生きた時代と文化的な環境に置き直してみること」だそうです。ゴッホが何を見て、何を感じたのか。初期から晩年までの軌跡を代表的な作品(及び影響を受けたものや交流をもった画家等)とともに歩みつつ、ゴッホの実像に迫ろうというもので、 「ファン・ゴッホ美術館」「クレラー=ミュラー美術館」という二大美術館が全面的に協力する大展覧会は、オランダ国外では初めての、非常に特別な展覧会だそうです。

確かに、すごかった!

代表的な作品をこれだけまとまった形で観られるなんて、本当に素晴らしいことだと思います。しかも、ただ代表的な作品を並べるのではなく、テーマに沿った形で、まさに「ゴッホの人生を絵解きしているかのような」作品構成。今までのゴッホに対するイメージが一新される素晴らしい展覧会でした。

しかし残念なのが、《ひまわり》(損保ジャパン東郷青児美術館蔵)が東京展では展示されていないこと。名古屋展(愛知県美術館:7月26日~9月25日)のみ、しかも会期途中までだそうです。せっかくの素晴らしい展示構成にもかかわらず・・・本当に残念。流れの中で、是非観たかったです。(名古屋展がうらやましい!)

初期の最高傑作《馬鈴薯をたべる人々》は、油彩作品はありませんが、リトグラフが展示されていました。しかもこの作品、反転してる・・・。

《モンマルトルの菜園とムーラン・ド・ブリュット=ファン》という印象派の影響をもろに受けた作品。部分的に点描を取り入れていて、モチーフや構成とかもピサロみたいで面白かったです。全面的に点描を用いた《レストランの内部》という作品はすごくやさしい絵で、これもゴッホ!?って感じですが、すごくいい絵でした。

ゴッホが浮世絵を集めていたというのは有名ですが、今回、浮世絵をもとにした油彩《花魁(渓斎英泉による)》とその浮世絵及びそれをトレースしたものが展示されていました。また、歌川広重とそれをトレースしたものも。浮世絵をトレースし、格子を書き加えて番号を振ったり・・・すごく繊細かつ几帳面で、真面目な感じの人なんだなぁ。それにしても、「ゴッホとともに観る浮世絵」って本当にいいっすね!! (^O^)

 初めて夜の星空を描いた《夜のカフェテラス》というあまりにも有名な作品(図録の表紙も!)、本当にすごいです。色の対比や構図等、ゴッホってかなりの理論派。(パリ以前から色彩理論等をマスターしていたそうです)《黄色い家》もいいけど、やっぱり《夜のカフェテラス》の方がいいなぁ。

《ひまわり》《黄色い家》のイメージが強く、ゴッホの色というと黄色を思い浮かべる人が多いと思いますが、私はずっと、青色だと思っていました。(変わり者ですので・・・)いずれにしろ、お互いに引き立てあう色(補色)なので、どちらが正しいというものでもないと思いますが、青色は、やさしさや爽やかさだけでなく、落ちていくような恐怖心、怪しい魅力も表現できる不思議な色で、その青色を追求し、自在に操る(そのものの濃淡や他の色による効果等を駆使する)のがゴッホという画家だとずぅーっと思っていました。深みのある青を旨く使うことにより夜(闇)を表現した《夜のカフェテラス》《黄色い家》《糸杉と星の見える道》などの作品はまさに!!

《サン=レミの療養院の庭》《糸杉と星の見える道》もすごくいい作品だけど、チョットうねってきて、シュールっぽい感じ。晩年の作品は筆使いや絵の具の質感、色彩的にも心の中を映す鏡のようで、チョット痛々しい・・・

画家としての制作活動はわずか10数年。作品数は約2000点。画風もめまぐるしく変わる。どうしてこんなにまで、人生を急ぐのだろう・・・たぶん、強い信念を持つ真面目で几帳面な人だったんだろうなぁ。だけど、短気で、妥協を許さなぬ頑固な性格故に、いさかいが多く苦しんだんだろうなぁなんて。画家として、一人の人間として、常に葛藤していたように思えて・・・

全体的に、ゴッホの苦悩や葛藤、意志が感じられ、画家としての人生の転換期、節目となる作品も多く、中身の濃い展覧会だと思います。資料や他の画家の作品も素晴らしく、その展示構成にも工夫があり、時間をかけてゆっくりと鑑賞することをおすすめします。

また、音声ガイドはガイド数が少ない(ガイド番号は21番まで)のがチョット惜しいけど、内容は充実していておすすめです。充実しているにもかかわらず、長くない。かといって、短すぎるわけでもない。ん~絶妙♪

ぜひ、もう一度観に行きたいです!

もちろん、また音声ガイドを借りますよ!!  

ちなみに、ガイドの原稿はアートライターのせチこさん(もぎたて!アート見聞録)が担当したそうです。(HPやメルマガでは、プロの視点からアートをバッサバッサと斬りまくり、各種展覧会の裏話や本音を語ってくださる素敵なお姉さんです♪)もちろん、音声ガイドの中では斬っていませんヨ!念のため (^.^)

  • 図録:2300円(税込)
  • 音声ガイド:500円(税込)

※展示替について(東京国立近代美術館のメールマガジンより)

アルルでファン・ゴッホと共同生活をしたときに描かれたポール・ゴーギャンアリスカンの並木道、アルル」(損保ジャパン東郷青児美術館蔵)4月18日(月)まで。

オーヴェール時代を代表するファン・ゴッホ「ドービニーの庭」(ひろしま美術館蔵)4月26日(火)まで。

 HPに割引券があります。

東京国立近代美術館(http://www.momat.go.jp/Honkan/Gogh/) 

NHK(http://www.nhk-p.co.jp/tenran/gogh/index.html) ※図録の通販あり

東京新聞(http://www.tokyo-np.co.jp/event/gogh/

 

表裏

【東京展】 東京国立近代美術館:2005年3月23日~5月22日
【大阪展】 国立国際美術館:2005年5月31日~7月18日
【名古屋展】 愛知県美術館:2005年7月26日~9月25日


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コメント 4

ゆーじあむ

初めまして。TBもしました。
ゴッホっていいですよね。個人的にはひろしま美術館所蔵の「ドービニーの庭」も見られたのも良かったです。
by ゆーじあむ (2005-04-18 04:43) 

りゅう

>Yuseumさん
はじめまして。「ドービニーの庭」、いい作品ですよね!日本の美術館にも質の高いゴッホ作品いっぱいあるぞ~って。(声を大にしていいたい!)
実は・・・
会場で、「ばら」(国立西洋美術館所蔵)がこの展覧会にあったらなぁなんて考えてしまって(笑)、
「ラ・トゥール展のチケットもあることだし、行っちゃえっ!!(暴)」
ということで、西美まで行ってしまいました。
にもかかわらず、
ラ・トゥール展に時間をかけすぎてしまい、常設展では大好きなモネの部屋ですら軽快に(!?)通り過ぎて、
「ばら」に向かってまっしぐら!(ーー;)
ゴッホ展かなり混んでいるみたいですね、2回目行きたいのですが迷ってます。
「夜のカフェテラス」と広重の「名所江戸百景 猿わか町よるの景」を
もう一度、実物でみくらべたいのですが・・・
by りゅう (2005-04-18 22:05) 

サンフランシスコ人

「これだけまとまった形で観られるなんて、本当に素晴らしいことだと思います。」

昔ニューヨークで、大ゴッホ展を観ました。
by サンフランシスコ人 (2007-12-27 09:01) 

りゅう

>サンフランシスコ人さん、コメントありがとうございます(^o^)丿
回顧展では個々の作品のみならず画風の変化も楽しめますね♪
by りゅう (2007-12-27 22:14) 

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